サイボウズラボの秋元裕樹氏は、DeNAの松内氏が語った「海外をめざせ」のメッセージを受けるように、「Asiajin」を紹介した。これは日本のIT事情を英語で海外に紹介するウェブサイトだ。
秋元氏は、同様に日本の文化を海外に紹介して成功しているサイトはたくさんあるとして、Danny Choo氏のブログやTokyo Mango、Japan Probe、akihabara news、JapanSugoiといったサイトを紹介した上する。しかし、このようなサイトでは「クール・ジャパンにクールなソフトウェアは含まれていないのが現状」と指摘。Asiajinをローンチした経緯を説明した。
英語圏のユーザーも、情報をどこで仕入れているかと言えば、結局は人気ウェブサイトやソーシャルブックマークで集めている。そこでAsiajinでは、まずはdiggやdel.icio.usといった海外ユーザーの多いサービスで注目されることを目指した。その結果、公開2カ月で1200人ほどの読者を集めたという。読者の半数ほどは日本人だが、英語やスペイン語、中国語のブログで紹介されることも多いという。
秋元氏は、英語圏で注目されるには、日本語を一切入れず、純粋な英語サイトとしてつくることが大事だと言う(ただし、日本語ブラウザで見たときには日本語を表示しているという)。
サイトの英語は、日本人が書いた物で間違いも多い。サービスを始めたときには、「ネイティブスピーカーの校正を入れた方がいい」といったアドバイスももらったが、それらは「ナンセンス。悪しき完璧主義」と切り捨て、「アメリカ生まれのアメリカ人エンジニアなんて半分いるかどうか」と強調。文法的正しさよりも、まずはコミュニケーションをすることが大事だと力説した。
インフォマークスの大沢和宏氏は、今回、一番注目を集めた人物だ。本来は5番手としてセッションの中盤にプレゼンテーションをする予定だったが、マシンの不調でプレゼンができず、壇上でコマンドラインと格闘しながら持ち時間を終えてしまった。しかし、その後、マシンが復調し、図らずも今回のセッションの大トリを務めることになった。
大沢氏はプラスチック製ミサイルラウンチャー、秋月電子通商で購入したVFD(電光掲示板)をUSB接続したMacBookとWii Fit用の「バランスWiiボード」という装備でプレゼンテーションを行った。
同氏のプレゼンテーションバランスWiiボードの片端に足をのせるとスライドがめくられ、画面に表示された文字と同じ文字が電光掲示板に表示され、ミサイルラウンチャーが向きを変える。また、別の端に足を乗せるとスライドが1つ戻る、と珍しいデバイスを活用して会話を進める。
大沢氏は、バランスWiiボードの上で激しくジャンプしてスライドをめくりながら、機器の構成を紹介。途中、スライドの表示先をターミナル画面に切り替えたり、スライドをめくる道具をWiiのスティック型コントローラに切り替えるなど、流れるようなプレゼンテーションに会場を魅了した。
今回のセッションでまとめ役を務めたShibuya Perl Mongers(Shibuya.pm)の2代目リーダー、竹迫良範氏は、「最もためになる初心者用言語はPerl」と講演を始め、ユーモアたっぷりにPerlの優位性を紹介した。仕様上の問題から2038年以降の日付が扱えない、いわゆる「2038年問題」もあったが、それも2月7日には無事解決し、今、つくったプログラムが30年後も無事に動くようになっているという。
また、こうした開発技術を活性化する上で地域コミュニティーも非常に大事だとして自身がリーダーを務めるShibuya.pmを紹介。これに触発されて多くの開発者系地域コミュニティーが登場していることも紹介した。さらに、こうした地方の動きを世界につなげる動きとして、2年前から主催している国際会議「YAPC::Asia」を紹介した。2008年のYAPC::Asiaは5月15〜16日に東京工業大学大岡山キャンパスで開かれる。
なお、今回のセッションの模様は、ニコニコ動画にもアップロードされている。
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