2007年に3億5000万ドルでコンシューマーウェブ大手の米Yahooに買収された後も、Zimbraの事業戦略に大きな変化は見られない。だが、MicrosoftがYahooの買収に成功した場合、何が起きるのだろうか。
Zimbraは米国時間2月5日、電子メールとコラボレーションソフトウェアの新しいバージョンをリリースした。これには、ウェブブラウザによるオフラインでのメール閲覧や文書作成機能が搭載されている。
また「Zimbra Collaboration Suite 5.0」には、BlackBerryクライアントとJava 2を搭載する携帯電話へのサポート機能も追加されており、インスタントメッセージ機能も加わった。
Zimbraの共同設立者の1人であり、現在Yahooのバイスプレジデントを務めるSatish Dharmaraj氏は、これらの機能はZimbraがYahoo傘下に入る前から製品プランに組み込まれていたものであり、同社のビジネスプランは現在も大筋で変わらないとしている。
「Yahoo Mail」が主にコンシューマー向けのものであるのに対し、Zimbraは大学、法人、およびインターネットサービスプロバイダーを対象にサーバソフトウェアを販売している。2007年に結んだComcastとの提携を通じて獲得したユーザーを除くと、現在1100万人がこのソフトウェアを使用しているとDharmaraj氏は語る。
「私がYahooで与えられた特権および業務上の目標は、世界中のインターネットサービスプロバイダーや教育機関、企業の間でZimbraの製品の普及を最大限高めることだ」とDharmaraj氏は言う。
Zimbraは、「Microsoft Office」に代わるより優れたウェブベースのクロスプラットフォームが必要であるとの考えに基づき設立された。そのため、大学や企業を対象とした販売において、同社はMicrosoftと直接競合することになる(同氏への取材はMicrosoftによるYahooに対する買収提案が公表される前に行われた)。
Dharmaraj氏は、コンシューマーウェブ市場において、エンジニアたちによるZimbraの技術を活用したYahoo Mail改善へ向けた取り組みが始まっていることを付け加えた。その一例が、ZimbraのカレンダーアプリケーションのYahoo Mailへの組み込みだ。
Zimbraの技術は、ウェブブラウザを利用したマッシュアップなど洗練された機能を使用できるウェブプロブラミングモデル「Ajax」を全体の基盤としている。
新バージョンの「Desktop」アプリケーションでは、ブラウザを使用してテキスト文書を作成、共有したり、スプレッドシートをその中に埋め込むことができる。
Desktopのオフライン機能では、「Gmail」や企業メールなどさまざまなメールアカウントにアクセスすることができる。5日の発表時点では、この機能はまだベータ版の段階であり、2008年第1四半期中に一般利用が可能になる見通しである。Zimbraでは、同社のサーバソフトウェアのオープンソース版を提供し、ハイエンドの商業版で利用料金を取っている。
Dharmaraj氏は2日、MicrosoftがYahooに行っている買収提案についての質問に対する返答をプロダクトフォーラムに投稿し、「何ら変化はない」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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