ロックバンドU2のマネージャーであるPaul McGuinness氏は現地時間1月28日、音楽業界関係者に対して、著作権侵害と闘っていこうとスピーチのなかで呼びかけた。McGuinness氏は、インターネットサービスプロバイダーに楽曲の著作権を侵害する人物を締め出させることで、ファイル共有と闘いたいと考えている。同氏は、デジタル音楽プレーヤーを製造しているAppleなどのメーカーがその「窃盗ツール」で不当に儲けていると示唆している。
McGuinness氏はフランスのカンヌで開催されている国際音楽産業見本市「MIDEM 2008」において、集まった業界の人々に対して、音楽は多くの人々に大金をもたらしていると述べた。しかし残念なことに、そのお金はアーティストの手にわたっていないという。同氏はその原因が主にハイテク企業にあると述べたものの、「先見の明と計画性に欠けていたため、さまざまな業界がユーザーによる著作権侵害を野放しにしたことに対して何の手も打たなかった」レコードレーベルにも非難の矛先を向けた。
驚くにはあたらないが、20年以上にわたって世界で最も愛されているバンドの1つであるU2を非難する声がブログ界で高まっている。
怒ったブロガーらによる投稿の見出しには、「U2のマネージャーが、われわれは悪いと説明している」や「U2のとんでもないマネージャーは、ハイテク企業を糾弾しようとしている」「U2のマネージャーがISPに暴言を吐いている」といった言葉が並んでいる。
プライバシー擁護者であるLauren Weinstein氏は、ハイテク分野が「ヒッピーのような価値観」を持っているとコメントしたMcGuinness氏を非難している。
Weinstein氏は「Paulは、Steve Jobs氏やBill Gates氏のような、有名なヒッピー心酔者に狙いを定めている」と皮肉を述べるとともに、「SteveやBillがTimothy Leary氏(ヒッピーの教祖的存在であり、サイケデリック革命の中心人物)に影響を受けていた頃を覚えているだろう?覚えていない?電源を入れ、ログインし、専門用語でしゃべる(原文は「Switch On, Log In, and Buzz」であり、1960年代にTimothy Leary氏が提唱した「Turn On, Tune In, Drop out」という、LSDで意識を拡張し、高次元の意識に同調し、社会に背を向けろ、を意味するスローガンのパロディである)も覚えていないのかい?」と述べている。
U2はMcGuinness氏のスピーチに対して何もコメントしていないが、彼らは同氏のスピーチの内容を事前に知らされていたと思うのが普通だろう。スピーチの内容はU2の公式ウェブサイトに掲載されている。いずれにしろ、PrinceやNine Inch NailsのTrent Reznor氏、(ファイル共有に反対の意を表明しているすべてのミュージシャンの先駆者的存在である)MetallicaのLars Ulrich氏のように、U2も非難の声にさらされている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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