問題の渦中にあるファイル共有サイトのQtraxが、万が一、大手音楽レーベルとのライセンス契約を取り付けられたとしても、まだ大きなハードルに直面する可能性がある。
Prince、Van Morrison、The Black Crowesといった音楽アーティストの代理を務めるWeb Sheriffは、アーティストからの了承が得られるまでは、その楽曲や写真、その他の著作権で保護されたコンテンツの提供を一切控えるようにと、Qtraxに対して通告した。
Web Sheriffの社長であるJohn Giacobbi氏は、「Qtraxが興味深いビジネスモデルであることは認めるが、多くの大手レーベルやインディーズアーティストは、現在の広告売上に頼る大まかな売上モデルと引き替えに、(消費者に)無料で音楽を提供してしまうようなことは好ましく思わないだろう」と、電子メールでコメントした。
デジタルコンテンツを海賊行為から保護している英国企業のWeb Sheriffは、場合によっては、合法的に音楽配信を提供するために、音楽レーベルに加え、アーティストからも了承を得なければならないという点を、Qtraxに対して伝えたと、Giacobbi氏は明らかにしている。
Qtraxは、まだ音楽のダウンロード提供を始めていないようだが、Foo Fighters、Daft Punk、Wyclef Jeanなどのアーティストの写真が、サイト上に掲載されている。
Daft PunkはEMIレーベルに、JeanとFoo FightersはSony BMG Music Entertainmentに所属している。この件に関し、米国時間1月28日夕刻の時点では、Qtraxおよびレーベルの関係者からのコメントは得られていない。Qtraxが、こうした写真の使用許諾を得られているのかどうかは不明である。
Giacobbi氏は「著作権で保護された写真であれ、いかなる他のアートワークであれ、無許可で使用することは(法律に対する)違反である」と述べた。
Qtraxは、蔓延する違法なファイル共有を、無料で合法的なPtoPサービスを提供することで抑えこむことを望んでいる。Qtraxは、音楽企業と広告売上を分け合うことで、提携契約を結んだと語っていた。
しかしながら、Qtraxが本当に4大レーベルの楽曲を提供する権利を有しているのかに関して、大きな物議を醸した27日以来、Qtraxは論争の的となっている。
ここ数週間は、Qtraxのマネージャーが報道陣を集め、大手レーベルとのライセンス契約を取りつけたと信じこませる展開が続いていた。しかしながら、28日朝に予定されていたサイトオープンの数時間前になって、全レーベルが契約の存在を否定し始めた。Qtraxの幹部らは、音楽サービスの発表を延期することによって対応せざるを得なかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」