慶應義塾大学SFC研究所が主催する「Open Research Forum 2007(ORF)」が11月22〜23日、六本木アカデミーヒルズ40にて開催された。
同研究所Cの教授、研究員、学生によって研究されている研究成果が発表されるとともに、初日に開催されたメインセッションにおいては「地球の科学技術を考える」と題し、日本科学未来館館長の毛利衛氏、慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長の竹中平蔵氏、慶應義塾常任理事の村井純氏の3人による討論が行われた。
同セッションでは政治、学術、科学それぞれの面においてのプロフェッショナルである登壇者からの意見が交換される中で、業界の枠を超えて活躍する「コミュニケーター」の重要性が叫ばれた。
「地球温暖化は現在の予測よりももっと厳しい結果になりそうだ」。冒頭、毛利氏は地球温暖化に関する現状が危機的な状況であることを訴えた。
その後、各立場から見た科学技術の現状と今後について意見が交わされ、毛利氏が「科学の世界は50年後、100年後を考える必要があるのに対して、ビジネスは短期的な利益に走る傾向にある」と指摘。それに対して竹中氏は「経済や政治の世界と技術の世界が切り離されている」と指摘し、「技術者や科学者の中から経済・政治の世界に入り込んでいく人材が出てくることが必要」と主張した。
毛利氏はORFのテーマである「toward eXtremes」についても言及し、『福翁自伝』のなかにある「事をなすに極端を想像す」という福沢諭吉が150年前に認識していた世界観が日本にあったことに触れ、「現代の認識は地球、宇宙、月にまでなった時代になっている。認識は150年のうちに広がっており、現代では地球全体を考えることのできるリーダーシップを持った人間を要請することが重要である」と発言した。
最後に村井氏は、「地球上にいる各国の人たちがつながって考えたり、新しい問題を共有する地盤が整ってきた。そのような環境で一人ひとりの人間が未来のために力を合わせていく必要がある。楽観的になってtoward eXtremes、極限まで頑張るという自信をもって進めていくべきではないか」と締めくくった。
尚、本セッションにおいては地球未来館とネット接続による同時中継がなされ、質疑応答においては活発な意見交換がなされた。
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