英国の人気バンドRadioheadが、最新アルバムの価格を購入者が自由に決められる販売手法を採用した。同バンドにファンから多くの支援金が寄せられると予想する人もいたが、米国時間11月5日に発表された調査結果を見る限り、その見方はやや楽観的だったようだ。
10月にRadioheadのデジタルアルバム「In Rainbows」をダウンロードした人の中で、料金を支払った人の割合は全世界でわずか38%だったことがインターネット調査会社comScoreの調査で明らかになった。
全体のおよそ17%の人が1セント〜4ドルを支払ったが、この金額もCDの小売価格である12〜15ドルを大幅に下回っている。また、全体の12%の人が8〜12ドルを支払った。ちなみにAppleのオンラインミュージックストアiTunesでは大半のアルバムが9.99ドルで販売されている。
世界で最も知名度の高い音楽バンドの1つであるRadioheadは10月、In Rainbowsのデジタル版を無料あるいは自分の好きな価格で購入できる販売方法を導入し、世界中のファンを驚かせた。
これを受け、各音楽ブログは興奮で沸き立った。評論家たちは、ファイル共有者らは、レコード会社から独立したアーティストらを喜んで支援し、彼らが単なる無料ローダーではないことを証明するだろうと得意げに語った。しかし、その予想は大方外れだったようだ。
しかし、Radioheadが多少なりとも利益を上げたのか否かという重要な疑問の答えがまだ出ていない。Radioheadは、同アルバムをオンライン上で販売するためのコストを支払う必要があったと見られるが、一方で、売り上げをレコード会社に分配する必要もなかった。
comScoreによると、アルバムをダウンロードする際に料金を支払った人の中で、米国在住者は、他の国の在住者よりも多くの金額を支払った可能性が高いという。米国在住者の平均支払い額が8.05ドルだったのに対し、米国以外に住む人々の平均支払額は6ドルだった。
今回のRadioheadのプロモーションをきっかけに、他の複数のバンドが同様の販売方法を取った。先週、ラッパーのSaul Williams氏がアルバム「The Inevitable Rise and Liberation of NiggyTardust」をリリースしたが、Williams氏は、同アルバムを無料で入手するか、5ドルで購入するかをファンが選択できる販売方法を取った。
Williams氏が取った方法とRadioheadの方法との重要な違いは、Williams氏の楽曲の購入者には、より高いビットレートで楽曲が提供されるため、購入者はより高い音質で楽曲を楽しめる点だ。
NiggyTardustは、人気ロックバンドNine Inch Nailsのフロントマン、Trent Reznor氏がプロデュースした。Reznor氏は、新しいビジネスモデルを試したRadioheadを称賛した。
Reznor氏は、CNET News.comが先週行ったインタビューの中で、「Radioheadが取った販売方法にはいくつかの重大な欠陥があったと考えている」とした上で、「しかし、素晴らしいアイデアだった」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」