ウェブマーケティングの最新動向を紹介した「CNET Japan Innovation Conference」。ヤフー広告本部営業企画部部長の近藤弘忠氏は、「最新マーケティング手法〜行動ターゲティングとは〜」と題するセッションを行い、行動マーケティングの仕組みや効果、価値、今後の展開などについて講演した。
近藤氏はまず、行動ターゲティングが必要な理由として、「環境の変化」を挙げた。これは大量生産、大量消費の時代から消費者ニーズが多様化する時代へと変わり、さらにインターネットの普及によって消費者は欲しいときに欲しい情報を簡単に手に入れられるようになったことで、消費者の購買プロセスが大きく変化したということだ。
消費者の購買プロセスが変化したことにより、広告もこれに対応していく必要がある。従来はテレビや新聞、雑誌、ラジオなどのマス広告を広く伝播させることで消費を生み出すことができたが、消費者ニーズの多様化とインターネットの普及によって、マス広告だけでは最適な効果が得られなくなってきている。多種少量消費のニーズに対し、生産者も多種少数生産を行い、必要とする消費者に的確な広告を掲出する必要があるのだ。
このような環境の変化に合わせて、従来のプッシュ型のマス広告から、ユーザーのアクションに応じた広告掲出、またはユーザーの登録情報に応じた広告掲出を行う「ターゲティング配信」へと広告配信手法も変化していく必要がある。特に行動ターゲティング広告は、米国では2000億円規模の市場となっている。
この傾向は日本でも同様で、ヤフーの最新の情報では2007年第2四半期の行動ターゲティング出稿広告売り上げが前期比26%増と顕著な伸びを示している。ヤフーでは2006年1月からテストマーケティングを開始しており、現在までの行動ターゲティング累積出稿広告主数は延べ500社を超え、案件数は延べ約4000件となっている。また、継続率が60%と高くなっていることも特徴だ。
次に近藤氏は、行動ターゲティングの仕組みについて説明した。一般的な行動ターゲティングとして、第三者配信型とメディア提供型が存在する。第三者配信型は、特定のサイトを訪れたユーザーに対し、行動履歴を蓄積するというもので、行動履歴を取得するサイトと広告を配信するサイトが別である点が特徴。コンテンツを意識して広告を配信できるほか、サイトの内容に関係なくターゲティング広告を配信することも可能だ。
一方、メディア提供型は、サイトが独自のシステムによってユーザーの行動履歴を取得し、広告の配信を行う。基本的にクッキー情報を利用して、ユーザーのページ閲覧や検索、広告のクリックアクションからデータを作成し、ユーザーに合致する広告の掲載を行う手法だ。ただし最近では、これらの手法が重なってきている傾向にあるという。ちなみに米国では第三者型が多く、日本はメディア提供型が優勢だ。
また、行動ターゲティングを行うには、分析やセグメントに耐えうるサンプル数があることや、マーケティングに意味のあるリーチや露出量など、「質を追求できる量の確保」、および膨大なデータを処理できるプラットフォームや、的確な配信が行える技術、質の高いターゲットセグメント力といった「ターゲティングの質の確保」が求められるという。
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