アーロンチェアに座ったことがある人ならば、職場における真の快適さというものがどのようなものかを知っているはずだ。それだけではなく、アーロンチェアは家具としての見た目も素晴らしい。
このことは、現実世界のアーロンチェアだけではなく、仮想世界である「Second Life」におけるアーロンチェアにもあてはまる。そして、Second Life内ではアーロンチェアの偽物が手頃な価格で販売されている。
しかし、Wagner James Au氏のNew World Notesブログへの投稿によると、アーロンチェアを製造しているHerman MillerがSecond Life内に店舗を開設し、興味深い2面的なアプローチをとることによって、違法な偽物の問題に対処しようとしているという。
Herman MillerはSecond Lifeの住人に対して期間限定で、偽のアーロンチェア(および同社の有名な製品のうち特定のもの)を、Second Life用の本物のアーロンチェアと無償で交換するということを行っている。偽物を所有していない人は、Second Life用のアーロンチェアを安価に購入することができる。
しかし、Herman Millerは偽物製作者に対しては、丁寧(今のところ)ながらも格段に厳しいアプローチをとっている。
Herman Millerの広報担当者はAu氏に対して「われわれはこういった関係者に連絡を取り、彼らがわれわれの商標や著作権、登録商標を侵害していると通知したうえで、そのような行為を停止、断念するよう、紳士的かつ断固とした態度で要請している」と述べるとともに、「(われわれの要請を)受け入れた相手もいる一方、提携関係の締結を提案してきた相手も、まだ何の返答もしてきていない相手もいる」と述べている。
これはどの面から見ても興味深い動きだ。商品の交換を申し出ることは、Second Lifeの住人にアプローチする革新的な方法であり、彼らはその行為を高く評価するうえ、現実世界に存在する企業として仮想世界でビジネスを行うための思慮深い方法でもある。この行為によって、同社のSecond Life用の商品がより魅力的なものに映ることになるはずだ。それをしなければ、人々は同社の商品を購入せず、問題自体が無意味なものとなるだろう。
Herman Millerが偽物製作者に対して出した停止および断念という要求については、結果が出るまでに時間がかかるだろう。
Second Lifeやその他の仮想世界には、現実世界におけるあらゆる種類の製品に対して偽物が存在している。そういったことの合法性を問う疑問に対して解答をもたらす可能性がある訴訟として皆の注目を集めていたMarvel対NCSoftの一件は、判事や陪審員の決断を待たずして和解が成立した。この訴訟は、City of Heroesというゲームにおいて、プレーヤーがスパイダーマンや超人ハルクのような有名なコミックブックのヒーローに似たアバターを作れるようにしたとして、制作会社であるNCSoftを相手取ってMarvelが起こしたものである。
多くの専門家がMarvelの敗訴を予想していたため、知的財産権問題に興味を持っていた仮想世界コミュニティーは、この和解によって、疑問に対する最終的な答えを得る機会が奪われたと落胆した。
Second Lifeを運営しているLinden Labは、Herman Millerが対処しようとしているような状況において、権利保持者がデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく侵害除去請求を可能にしている。
しかし、そのプロセスは時間がかかるものであるため、Herman Millerは、アーロンチェアの偽物製作者に自社の要求に従うよう求めることで、明らかにこの状況に真っ向から立ち向かおうとしている。これが功を奏するかどうかについては、まだ答えが出ていない。というのも特に、Herman Millerの要求を拒否するSecond Life用コンテンツの制作者がいた場合、知的財産権を行使するという重荷は非常に大きなものになるためである。
しかし今のところは、Herman Millerがこの問題にどうアプローチしていくのかを見守るだけで興味深い。私は、同社がスマートなやり方をとっているという見方をしている。今のところだが。今後どうなるかはお楽しみだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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