9月25〜26日の2日間にわたって開催された、最先端のインターネットのトレンドを伝えるカンファレンス「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007」。"Web Visionaries - Webの未来を創る先駆者達"をテーマに開催された26日には、元PayPal上席副社長で、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)LinkedInを運営するLinkedIn創業し、現在は同社の会長兼社長を務めるReid Hoffman氏が登壇。"How does a successful start-up run in Silicon Valley〜シリコンバレーで最も注目されているベンチャーキャピタリスト/経営者が語る〜"と題した講演が行われた。
Hoffman氏が指揮を執るLinkedInは、全世界で1400万人の会員を擁するビジネスに特化したSNSだ。ビジネスの人脈づくりの場として、人材やビジネスパートナーの検索が可能で、日本にも約7万人の登録者が存在するという。
Hoffman氏は講演のなかで、「シリコンバレーがなぜ技術革新の源であり続けるのか」という問いに対して「シリコンバレーは、25マイルも離れていないエリアの中に、大企業、ベンチャーキャピタル、起業家的な小規模な企業といった多岐にわたるオープンなネットワークがあり、それを活用できる場所だ」と答え、ネットワーキングの重要性を強調する。
Hoffman氏は、シリコンバレーのベンチャーが成功へ向かう道筋について「まずはアイデアを創出すること、すべてはそこから始まる」と語る。そして、「そのアイデアに対する検証が行われ、現実的に製品が可能なのか、利益を生むことができるのか、競合がないかといったことを検討した上で試作品を作り上げる」と、初期段階におけるプロセスを解説した。
さらに「起業家はまず製品の戦略について考えてしまい、どうやって流通させるかということを忘れがちで、資金調達への関心が薄い。しかし、スタートアップ時の2カ月前には資金の目安を立てておくべき」と、ベンチャー企業にとって資金調達のプロセスが大きな課題となっていることを説く。
そうした現状に対して、Hoffman氏は「資金調達はまずはエンジェルファイナンシングによる300〜600万ドル程度の小規模な資金供与を受けるべき。それがうまくいくと、次はベンチャーキャピタルによる、もう少し大規模な投資につながっていく」と、秘策を語る。また、次の段階では、事業規模の拡大を図り、ベンチャーキャピタルによる大規模な投資を受けるぶん、高いリスクを負うことになるという。加えて、Hoffman氏は「エグゼクティブや取締役などの構造が必要になるのは、企業としての資産を持ったこの段階」と述べ、「企業として確立されれば、もはやオープンネットワークの重要性は低くなり、それを超えたレベルに達している」と語った。
いまやシリコンバレーでは、常識となっているLinkedin。Hoffman氏は「シリコンバレーでの成功のカギは、ベンチャーキャピタルではなく、ある特定のグループに成約されないエコシステムにある」と説明する。
しかし、どれだけ人脈があるといっても限界がある。Hoffman氏は「Linkedinは、オープンネットワークを提供することにより、基本的な問題解決のツールとしてデザインされており、ソーシャルネットワークとは違う。いかに仕事のタスクを達成するかが目的であり、自分のキャリアを生涯マネージメントしていくためのサイトだ」と述べ、日本を含めてサービスをグローバルに拡大していく方針が語られた。
なお、これにあわせた形で、LinkedInとデジタルガレージが提携。日本向けのサービスの提供を進めることが発表されている。
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