また、グーグルがもはや一企業のサービスという規模を超え、社会的なインフラになりつつあることから、今回のプロジェクトが持つ社会的なインパクトを評価したとのことだ。
実は吉本氏は前期の未踏プロジェクトにも応募していた。一度は不採用となったが、そのときに指摘された点を改善して再度応募したところ、採択されたという。
「システムを考えたときに1人の力では無理だと感じ、資金が必要だと思った。たまたまIPAのサイトを見ていたら、田中PMの募集要項にWeb APIを使ったシステム、という記載があり、これならいけるかもと思った。前期で指摘された点をきちんと反映して再応募した点も評価されたようだ」(吉本氏)
未踏ソフトウェア創造事業は、次世代のIT市場の創出に貢献するような技術、またはビジネスシーズの実現に向けたソフトウェアの開発を対象としている。筑波大学大学院システム情報工学研究科の学生で、ソフトイーサ代表取締役会長の登大遊氏が開発したVPNソフトウェア「PacketiX」のように、製品化された技術も多い。
ただし今回のシステムについて吉本氏は、「事業化は考えていない」という。それは、「儲からないから」。それでもグーグル八分にこだわるのは、グーグルに対して疑問を感じているためだ。
吉本氏は「グーグルのやり方は、収益化のためにとにかく規模を大きくしようというもの。そういった企業姿勢は社会から叩かれることで社会との折り合いをつけていくが、グーグルに関しては誰も叩かない」と説明した。
グーグルに批判が集まりにくい理由は何か。吉本氏は2つの理由を指摘する。1つは、グーグルに相乗りする形で利益を得ている人が多くいることだ。検索エンジン最適化(SEO)の提供事業者などがその一例だが、検索連動型広告を出稿している企業や、コンテンツ連動型広告を掲載しているサイトの運営者などもそれにあたるだろう。簡単に言えば、グーグルの恩恵をこうむる人がインターネット業界には数多くいるということだ。
そしてもう1つは、グーグルと同じような方法で成長を狙う人の存在だ。「コミュニティーの管理ポリシーを明示せず、とにかく拡大を狙うというところは多い。こういった人が、グーグルのやり方を叩けるわけがない」(吉本氏)
ただ、吉本氏はグーグルを嫌いというわけではなく「正しい検索結果が欲しいだけだ」と言う。
グーグルに対して吉本氏が求めることは2つ。1つは、検索結果から特定のサイトを除外する場合の基準を明らかにすることだ。たしかにグーグルのサイトを見ても、どういった場合にグーグルが検索結果からサイトを除外するかについてのポリシーを見つけることは難しい。
これについてグーグルに聞くと、第三者からの求めがあり、法律に違反している場合に検索結果から外すことがあるという。ただし、「グーグルがサイト全体を検索結果から外すことはない。個別のページを外すのみ」ということだ。
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