George Bush大統領について、あからさまに批判的なことをしゃべったりしようものなら、検閲を受ける恐れがある。少なくともこれが事実であることは、米国時間8月5日夜にシカゴで開催されたLollapaloozaコンサートのAT&Tのウェブキャスト中に、ロックバンドのPearl Jamの身に起きたことが物語っている。
AT&TのBlue Roomウェブサイト上でコンサートを鑑賞したファンの話では、「Daughter」という曲の中で、歌手のEddie Vedder氏が歌詞を変え、反Bush感情を歌い上げた部分にピーという音が挿入されて、歌がかき消された。問題の歌詞は、Pink Floydの「Another Brick in the Wall」という曲へ移る途上で登場したものだ。
ウェブキャストの最中にカットされてしまった部分の歌詞は、次のような内容だ。
「George Bushよ、この世界をそっとしておいてくれ。George Bushは、自分の居場所を別に探せばよい」
これに対して、Pearl Jam側は大いに憤慨した。AT&Tが楽曲を検閲したことについて、8日にブログを通じて厳しく批判している。
「今回の件は、アーティストとしてはもちろんのこと、一般市民としての立場からも、検閲およびメディアの行き過ぎた統制という大きな問題だ。通信メディアから世間に放映される内容を決める上で企業が有する権力について、多くの人々が懸念しているものの、AT&Tの対応は、まさにその核心を突いている」との声明を、Pearl Jamはサイト上で発表した。
これを受けて、AT&Tは9日、今回の事件は、すべて非常に間違った対応であったと認めるコメントを出した。コンサートを一部分でも編集削除するような意図は全くなかったとし、今回の件は、もしも汚い言葉が出てきたら、その部分にピーという音を入れてかき消す目的で、ウェブキャストを監視していたと思われる、お節介なウェブキャストのパートナー企業の仕業であると非難した。
AT&Tは「5日夜のPearl Jam公演の編集に関してですが、これはウェブキャストベンダーが犯した重大な過ちであり、当社の方針に全く反するものでした。極めて過激な口汚い言葉の編集削除に関しては、当社に適切な方針がありますが、公演を編集したり、検閲したりすることは一切ありません。Blue Roomには年齢制限が設けられていないため、ふさわしい特定の編集方針が設けられております」との弁明を公開した。
現在AT&Tは、ウェブキャストベンダーおよびPearl Jamと共に、事態の解決に向けた交渉が続けられていることを明らかにした。編集カットなしで問題となった楽曲を掲載し、こうした事態が再び生じることがないように保証する方向で、調整していく計画が立てられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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