米Googleが企業向けの事業に力を注ぎ始めた。企業活動のための情報検索を担う「Google検索アプライアンス」と、いわば「Office」アプリケーションをそろえた「Google Apps」を引っ提げ、同社にとって新たな領域へと足を踏み入れた。アプリケーション、サービスをインターネットを通じてエンドユーザーへと供給するSaaS(Software as a Service)にも本格的に着手することになる。
Googleは次の段階で何を目指すのか、米Googleで、エンタープライズビジネスを担当するKevin Gough シニアプロダクトマーケティングマネージャーに聞いた。
Googleは、企業を相手とするビジネス展開で、何を重視しているのか。「Google全体のミッションは、世界中の情報をいつでも、どこからでも誰もが使えるようにすることだ。Google Earth 、Google Maps、Google Apps、これらは、エンドユーザーの声を取り入れて開発してきたものだ。そのようななか、パブリックなWebの情報は容易にみつけられるのに、企業内での検索が難しいはなぜなのか、との疑問が聞かれるようになった。一般消費者側でよく用いられるような技術が、企業向けの技術より、全体を牽引している。Googleがユニークなのは、一般消費者の間でよりテストされている技術を使えることだろう」とGough氏。
Gough氏はユーザー側で使われる技術の重要性を繰り返し強調する。「Googleは、人は家庭を離れ、職場に向かうと、すぐに変わるものだとは考えていない。ビジネスの世界でも、個人が要求することと同じものはある。なぜ、家庭のパソコンのデータストレージの方が容量が大きいのか、なぜ、企業で使われるネットの方が遅いのか。あくまで、ユーザーサイドの技術の方が重要になる。ここを抑えていけば収益性向上にもつながる」。
そのGoogleがSaaSに手を染め始めたのも、エンドユーザーに重点を置くことの一環なのだろうか。「SaaSモデルは、Googleの技術配信の一つのあり方だ。企業向けに、技術を供給するのものとしてGoogle検索アプライアンスがあり、一方にはGoogle Appsがある。これはSaaS型になる。ビジネスの世界では、SaaS対既存のハード/ソフト、というような対立の構図ではなく、両者双方の世界がそれぞれある。我々は使いやすいAPIを公開していこうと考えている。APIの公開により、(サードパーティーの)開発者は(Googleと、さまざまなサービスの)システム間でセキュアな統合を実現させることができ、統合のコストは発生させることなくやっていける」。
SaaSは企業向けの普及が進んで、いまの隆盛を迎えている状況がある。SaaSと企業との関係をどのように考えているのか。「SaaSモデルのメリットは、一元化ができることだ。ユーザーは皆、最新版のソフトを使うことができ、アップデートやパッチをあてたりといった管理の手間はかからない。複雑なものに煩わされることがなくなる。企業活動には、Core(競争上優位をもたらす中核的な業務)とContext(Core以外の業務領域)があるわけだが、企業は、Googleのようなパートナーと協力すれば、Contextを切り離し、Coreとなる活動に集中することができる。Google AppsやGoogle検索アプライアンスで我々がサポートする」。
一方でGoogleは、Web アプリケーションのオフライン利用を実現できる「Google Gears」を投入している。これは、SaaSの発想ではなく、旧来のパッケージアプリケーションの手法というようにもみえる。Gearsの存在はどういう意味をもつのだろうか。
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