YouTube動画にブラウザ上から字幕をつけることができるサービス「字幕.in」が会社になった。
GMO VenturePartnersが出資し、字幕in株式会社として5月24日に設立。すでに営業を開始している。
2007年1月にオープンした字幕.inはもともと個人が開発したサービスだが、企業からの引き合いが多かったことからビジネス化に向けて本格的に動き出すこととなった。社長には開発者の矢野さとる氏が就任する。社員はまだいないが、同じGMOグループとなるpaperboy&co.代表取締役社長の家入一真氏がインターンとして参加するという。しばらくは社長とインターンの二人体制だ。
オフィスはGMOグループが入るセルリアンタワーに間借りするが、社長の矢野氏はほとんどオフィスには出勤しないという。サービスの開発はこれまでと同様に自宅で行う。オフィスに行くとすれば、週に1回、ミーティングに参加する程度だ。出資を受けて起業したわけだが、自由度はほとんど変わらない。新会社の資本金は50万円。そのうちGMO-VPの出資額はわずかに1万円(出資比率は2%)である。
今回設立した会社は字幕.inに特化した業務を行う。字幕.inの運営とネット上での字幕関連のビジネス全般が主な事業であるため、矢野氏が個人的に運営しているサービスすべてを字幕in株式会社で運営するわけではない。
字幕.inは動画メディアとして多くの視聴者を呼び寄せる一方、ビジネスではBtoBをメインに、「動画に字幕をつけるツール」として企業に導入していく。では、ネット上の字幕関連サービスとは具体的にどのようなイメージだろうか。
「実用的なところでいうと翻訳系が多いと思います。他には語学の学習ツールとしても使われる可能性はあると思います。あとは先週、日本聴覚障害者コンピュータ協会で字幕.inについてお話をしてきたんですけど、聴覚障害を持たれてる方は健常者よりも字幕が身近な存在で、実際に字幕がないとテレビを楽しむことができません。字幕をキーにして何か興味深いこと、例えば手話で動画を配信してそれに字幕をつけて表現できるサイトを作ったりとかが可能なのかなと思っていて、そういうことをうまくビジネス化させていきたいですね」(矢野氏)
これまでの字幕.inの楽しみ方は、既存の動画に面白い字幕を付け足して、メディアとして視聴するというものだった。だが、広告費で運営していく以外にBtoBビジネスの道が開けたことで、今後の展開に深みが生まれた。
「ビジネスとの繋ぎ込みが難しい映像系のサービスの上に何らかの仕組みを載せることで、BtoBとして使える可能性が出てきた。映像コンテンツをすでに持っている企業とは結びつきやすいと思います」
個人で運営するネットサービスの収益化には課題が多い。面白いサービスでもユーザーから利用料金を集めるのは難しく、仮に利用料を徴収してもサポートの負担が増す可能性もあり、結局は広告を貼るのが精一杯となってしまう。その点、字幕.inはコンシューマー向けのメディアであると同時に、企業にも納品できるクオリティを持つ珍しいサービスかもしれない。
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