「アップルゲート」事件に見るデジタル報道時代の危険性 - (page 3)

文:Caroline McCarthy(CNET News.com) 翻訳校正:吉武稔夫、佐藤卓、小林理子、編集部2007年05月22日 21時49分

 「わたしはブログで多くのジャーナリズムを読んできた。そして刊行物や印刷物、ウェブなどあらゆるものに対して同様に、わたしはいつも懐疑的だ。わたしたちは見るものすべてに対して懐疑的でなければならない」(Sreenivasan氏)

 これは読者だけでない。金融専門家でありWallstripでブロガーを務めるHoward Lindzon氏も、Engadgetの最初の投稿が発端となって株式取引が混乱したことに驚かされたという。同氏はインタビューで「人々が恐れを抱いた」と述べ、「株価が4ドル下落し、パニックに陥った」と語った。

 偽のうわさが企業の株価に影響を与えたのは初めてのことではない。ネットワーク機器メーカーのEmulexは2000年に、偽のプレスリリースがインターネットに流れ、一時的にではあるが25億ドルを損失した。

 Lindzon氏は、「わたしは株式に関して新しいメディアを利用している。というのも、いくつかの良い要素があると思っているからだ」と述べ、「それと同時に、わたしは読んだものに従って行動はしない。それは私にとって雑音でしかないからだ」と語る。言い換えれば、ブログ出版の異常なペースの成長を、読者、特に出版されたものに金銭的な利害関係を持つ可能性のある読者に当てはめる必要はない。

 ブログを警戒する必要性に対する話し合いがあるなか、明るい面も存在する。Sreenivasan氏によると、人々が好んでEngadgetなど主要ブログのコンテンツを受け入れ、信用するようになってきており、これはブログがメインストリームメディアに成熟しつつある兆候だという。Sreenivasan氏は、「人々がテレビやラジオで流れるものをなにも信じなかったときもあるし、電話インタビューをしたときも、やはり誰も信用しなかった。どんな社会もある程度は、コミュニケーションやニュース収集、ニュース配信のため新しいメディアに順応するものだ」と述べる。

 「いまSecond Lifeに関する報道があったとしても、あまり大きな衝撃とはならないだろう。しかし、数年後にはどうだろうか」(Sreenivasan氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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