ビデオゲーム市場の売り上げに関する権威として認知されている米市場調査会社NPD Groupは米国時間5月17日、同業界に関するアセスメントを発表し、その中で4月の家庭用ゲーム機の売り上げに関するレポートを発表した。しかし、Brian Shiau氏は先週、NPDの発表に先駆け、同社のレポート内容を予想するメールを送っていた。
結果的にShiau氏の予想は完全に的中したわけではなかった。任天堂の「ニンテンドーDS」と「Wii」、ソニーの「PLAYSTATION 3(PS3)」と「PlayStation Portable(PSP)」、Microsoftの「Xbox 360」の売り上げに関する同氏の予想と実際の結果との乖離(かいり)率は平均で15%だった。しかし、同氏の予想は、証券大手Wedbush Morganのアナリスト、Michael Pachter氏の予想と比べても遜色なかった。Pachter氏は、引用されることが最も多い業界アナリストの1人だ。Pachter氏の予想と上記ゲーム機の実際の売り上げとの乖離率はおよそ10.6%だった。
しかも、1カ月前の時点では、Shiau氏の予想がPachter氏の予想に勝っていた。Shiau氏の予想と実際の結果との乖離率はおよそ15.8%だったのに対し、Pachter氏の予想の乖離率は34.9%もあった。
実は、Shiau氏の予想は同氏自身の予想ではなく、simExchangeと呼ばれる予想市場に登録する4000人以上の会員の予想だ。Shiau氏は2006年11月に開設した同市場は、ビデオゲーム業界に特化した世界初の予想市場と見られる。
予想市場は一種の仮想株式市場であり、フォーチュン500企業の米国内の売り上げから政治家たちの選挙での得票数に至るまで、あらゆる物事の予想に利用されるケースが増えている。この予想市場は、New Yorker誌のスタッフライター、James Surowiecki氏の「The Wisdom of Crowds(群集の知恵)」というコンセプトを具現化したものだ。このコンセプトは、個人よりも集団の方が物事の結果をより的確に評価できる場合が多いという意味だ。
simExchangeは株式市場としての機能を果たしている。同市場の会員は、XboxやPS 3といったハードウェアから「God of War」や「Super Paper Mario」などのソフトウェアに至るまで、あらゆるものの将来の売り上げを予測し、株を取り引きする。
Shiau氏は、「(simExchangeの開設以前は)予想市場の技術がビデオゲームに適用されていなかった」と述べた上で、次のように続けた。「消費者側から見れば、世間に出回っているゲームはそう多くなく、読むべきレビューの数も限られている。そこで私は、(ゲーム市場に特化した)予想市場を開設すれば、消費者がどのゲームや付属品が最も良く売れるかを見極める上で役立つだけでなく、(ゲーム業界の)専門家たちにも役立つと考えた」
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