AOLの共同創設者であるSteve Case氏は米国時間4月19日、医療情報サイト「RevolutionHealth.com」を発表した。米国の医薬広告市場は大きく成長しており、RevolutionHealth.comはいずれ、業界大手のWebMD.comから市場シェアの一部を奪い取る可能性がある。
Case氏が設立したRevolution Health Groupが、RevolutionHealth.comを運営している。今回、同サイトが参入する医薬広告市場は、現在、WebMD.comをはじめ、Mayo Clinicが運営するMayoClinic.comやYahoo Healthなどが優位を占めている。
New York Times紙が以前に報じた通り、RevolutionHealth.comは、健康問題、健康状態、病気に関する情報などを扱っている。また、個人ページ作成機能も備えている。その他にも、ユーザーが特定の病気を患っているか否かを自ら判断し、それらの病気の対処法を確認できるツールや、特定の医者、病院、医療サービスの格付けを行うツール、さらに(病気の)潜在的原因の兆候を確認できるツールを提供している。
またRevolution Health Groupは19日に、CarePagesを買収したと発表した。CarePagesは、家族や友人同士が連絡を取り合ったり、互いの健康状態を監視するための個人的なプライベートサイトを開設できる無料サービスだ。
Case氏はネットを通じて行われた記者会見の中で、CarePages、個人ページ作成機能、ソーシャルネットワーキング機能といった技術やコンテンツで、競合サイトとの差別化を図っていく、と語った。しかし、同氏は一方で、同サイトの会員数が一晩で膨大な数に増えることはないだろうと付け加えた。
Case氏は、「(同サイトが)軌道に乗るまでしばらくかかる」とした上で、次のように続けた。「私がまだAOLにいた頃、われわれは1985年の秋にインスタントメッセージング(IM)を発表したが、事業が軌道に乗るまでしばらく時間を要した。しかし、今では人々はIMなしでは生きられなくなっている(中略)医療にも同じことが言える」
また同氏によると、このサイトはユーザーが自分の健康管理を中心に置くことのできるツールを提供することを目的としているという。アナリストらは、オンライン上ではこうしたトレンドが進んでいるという。
Banc of America SecuritiesのアナリストであるBrian Pitz氏は、「最近の傾向として、医療は顧客主導にシフトしつつあり、人々は自己責任において(医療に関する)さまざまな選択が可能になりつつある」と指摘する。
この事実を製薬会社が見逃すはずがない、とPitz氏は指摘する。同氏によると、製薬各社は、自社広告の掲載先として、人々から信頼されているコンテンツを提供する健全な医療サイト探しに力を注いでいるという。
広告調査会社TNS Media Intelligenceと広告業界専門誌Advertising Ageによると、米国の製薬最大手13社が2005年に処方薬と市販薬のマーケティングに費やした費用の総額はおよそ140億ドルだという。しかしPitz氏の見積りでは、製薬業界のマーケティング費用全体に占めるオンライン広告費は5%に満たないという。しかし、信頼できるコンテンツを提供する健全な医療サイトが増えれば、製薬業界のオンライン広告費も増加すると見られる。
例えば、WebMDの2006年の売り上げはおよそ2億5400万ドルで、前年から50%増加した。
Pitz氏によると、WebMDは複数の企業にプライベートな医療ポータルを提供しているため、現時点では、WebMDのサービスの方がRevolutionHealth.comよりも規模、質の両面で勝っているという。WebMDは、純収入のおよそ21%を企業向け医療ポータル事業で上げている。
「WebMDのプライベートポータル事業は堅調だが、競合他社がその事業を効果的に導入するのは難しいだろう」(Pitz氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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