サンノゼ発--IBMのAlmaden Research Labは、フォームへの入力や料金の支払いといったウェブ上で繰り返し行われる作業の自動化を支援するため、ハウツー知識版Wikipediaともいえるツールを開発している。
カリフォルニア州サンノゼにあるAlmaden Research Labの開発者、Tessa Lau氏は今週、カリフォルニア州サンディエゴで4日間の日程で開催されているETechカンファレンスで、 Koalaと呼ばれる技術のデモを行った。Koalaは、Firefoxウェブブラウザ用プラグインだ。IBMは過去1年間、Koalaの開発に取り組んできたが、まだ一般公開はしていない。
Lau氏は、「われわれは、Comcastからの請求書を毎月確認し、料金を支払うといった、ウェブ上で行う退屈な作業に着目した」とした上で、「(Koalaを利用することにより)ユーザーは、(料金の支払いといった)ウェブ上で日常的に行う作業のスクリプトを作成し、そのスクリプトを他者と共有できる。世界中で作業のやり方に関する知識の共有が可能になる」と語った。
Koalaの機能は以下の通りだ。まず、Firefoxブラウザの左側のウィンドウ枠にKoalaプラグインが表示される。同アプリケーションは、ユーザーがブラウザ上で実行した作業を記録し、小さなプログラミングスクリプトを作成する。そして、Koalaのウィンドウ枠内に表示する。
一例として、仮にあるユーザーがサンフランシスコの新築の家を購入しようと考え、最初に米国の公的物件情報データベースMultiple Listing Service(MLS)サイトにアクセスしたとする。すると、Koalaはハウツープロセスの第1段階として、そのウェブサイトを記録する。次に、そのユーザーがMLSの入力欄に希望する物件の条件を入力すると、Koalaはスクリプト全体に各記入欄の内容を記録する。仮に、最初に(価格が100万ドルで寝室が2つといった)特定の条件で検索したが、その条件に合致する物件が少なかった場合、ユーザーはKoalaが作成したスクリプト内の記入欄に書かれた条件を変更すれば良い。そうすれば、わざわざユーザーが検索を再度行わなくてもKoalaが自動的に行ってくれる。
「このスクリプトは実際の言語で書かれているので、仮に価格が200万ドルの家に条件を変更すれば、(Koalaは)私に代わってこれらの機能を自動的に再実行し、(MLSサイト上の)全てのボタンをクリックしてくれる。Koalaはこのような単純作業を保存する」(Lau氏)
作業が終われば、スクリプトを保存し、他のユーザーとの共有を可能にするKoala Wikiに投稿できる。Lau氏によると、Koalaにはスクリプトが7万以上登録されているという。
その結果、「知識の取得という作業をWiki化できる」と同氏は述べる。
しかし、サンフランシスコで物件探しをしている別のユーザーが、他の項目を使って検索したいと思った時はどうするのか?この場合、物件の価格や寝室の数といったスクリプト内の入力欄を変更できる。また、Koalaでは、個人に関する情報や好みを含まない汎用的なスクリプトを生成できる、とLau氏はいう。
例えば、Koalaを使って名刺発注作業を自動化する場合、手順は記録するが、データ入力欄を一般化して匿名化できる。Koalaは、デスクトップ内に保存されている名前、肩書き、住所などの情報をウェブサイト上の入力欄に記載する。この場合、Koalaは、入力した名前などを表示しないようスクリプトをカスタマイズし、他のユーザーによる利用を可能にする。
Lau氏によると、スクリプト内のクレジットカード番号を保護するという問題を解決するため、番号を認識して識別不能にするコードをIBMでは開発中だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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