ワシントン発--2008年の米国大統領選ではインターネットが選挙活動の「中心拠点」になると見られる中、Googleはいかにしてウェブをゴシップ紙化せずに、候補者の情報を参照しやすい状態に保つか、頭を悩ませている。
Googleのグローバルコミュニケーション担当バイスプレジデントElliot Schrage氏は、米国時間3月15日に当地で開催の年次イベント「Politics Online Conference」で、「ウェブの醜悪な面を助長させないようにしながら、自由な発言が許される場を提供する」ことが同社にとって最大の課題だと述べた。
Schrage氏は、「YouTube」ユーザーが投稿した、大統領候補John Edwards氏の亡くなった息子についての「見る者を動揺させる」とSchrage氏自身が表現する映像を例に挙げた。そして、熟慮の結果、Googleはこれをサイトから削除する立場にないと最終的には判断したと説明した。
「候補者やその家族の私生活に関して、われわれは境界線を引き直す必要に迫られている。真実を守るため、さらに慎重にならなければいけない」と、ジョージ・ワシントン大学で開催の同イベントで基調講演を行ったSchrage氏は語った。
ウェブを討論に利用する候補者や有権者が急増するにつれ、検索大手Googleの立場はいっそう微妙になってきたと、同社のPR責任者を務めるSchrage氏は認めている。オンライン上の中傷合戦を防ぐ最良の手だては「自己管理」であるというのが、同氏の考えだ。
Schrage氏は講演後に聴衆から質問を受け、「真実と虚偽を判別することは、Googleの仕事ではない。そうしたいとも考えていないし、それが適切だとも思わないし、ユーザーも望んでいないはずだ」と答えた。
同氏はさらに、ウェブが候補者および有権者にもたらしている、かつてないほど大きな民主主義的利点に言及した。インターネットは、政治家と有権者間の対話を実現し、過ちを犯した政治家に説明責任を負わせ、広範な資金調達手段ともなっているというのだ。
Googleは、政治キャンペーンにからんだ広告掲載を扱う特別セールスチームを編成し、そうした交流を活発化させていきたいと話している。同社は2008年の大統領選挙候補者全員をGoogleplexに招き、「技術や政治について語る場を設けたり、あるいはランチをともにしたりする」機会を提供していくという。
候補者の同意が得られれば、Googleは彼らの訪問の様子を撮影し、オンラインで流すことも計画している。なおYouTubeは先頃、大統領選候補者が映像を投稿できる、「YouChoose '08」という公式サイトをオープンさせた。
そのほか、検索ランキングを操作して作為的な結果を生成する「Google bombing」や、Schrage氏がその可能性を指摘する政治的スパイウェアのユーザーコンピュータへの侵入なども、注意すべき事柄として挙げられた。
世界中の情報の統括をみずからに任じているGoogleにとって、有権者に負担をかけず必要な情報を提供することは何より重要な課題だと、Schrage氏は述べている。
「ここにいる皆さんにも『Hillary 2008』と試しに検索してもらい、正気を保ったまま全結果を見てもらいたい。もちろん、その内容ではなく、量においてだが」(Schrage氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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