Googleは、同社の企業向けソフトウェア製品群に拡張サービスを加えてリニューアルしたサブスクリプション形式の有料版アプリケーションスイート「Google Apps Premier Edition」の提供を開始した。
米国時間2月22日に発表された新しいスイートは、以前は「Google Apps for Your Domain」として提供されていたサービスに代わるものである。特定のドメイン名でポータルページを作成する「Start Page」機能、ウェブベースの電子メールサービス「Gmail」、共有カレンダープログラム「Google Calendar」、およびインスタントメッセージングと音声チャットのための「Google Talk」が含まれる。Google Apps Premier Editionはこのほかに、「Google Docs & Spreadsheets」を追加した構成となっている。
Googleによる新しいビジネスアプリケーションスイートの発表は以前から噂されており、CNET News.comでも過去に報じている。
企業は、1ユーザーアカウントあたり年額50ドルでGoogle Apps Premier Editionを利用することができる。Google Apps Premier Editionで利用できるアプリケーションはすべて、広告が表示される無償版として顧客に提供されているものだ。有料版にはこれらアプリケーションに加え、顧客に対するサポートサービスの強化や、1ユーザーあたりのストレージ容量の増加(10Gバイト)、広告の非表示、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)群が含まれている。APIを使用することで、企業のIT専門家らが同サービスをカスタマイズすることが可能になる。Googleはさらに、企業ユーザーに99.9%の信頼性が得られることを保証している。Google Appsは何度かサービスが停止し、顧客を困らせたことがあったため、信頼性の保証はGoogleにとって重要だ。
Google Apps Premier Editionのリリースに加え、携帯電話の「BlackBerry」からのGmailへのモバイルアクセスが可能となった。この機能は、Premier Editionに加入するユーザーだけでなく、BlackBerryユーザーであれば利用可能である。
Googleのエンタープライズプロダクトチームを率いるMatt Glotzbach氏は、「われわれは非常に興奮しており、このサービスが市場にとって有用なものになると考えている」とコメントした。「われわれの目標は、エンドユーザーにとって使うことが楽しくなるアプリケーションを提供することである。われわれは、特に大企業のユーザーから『どうしてGoogleのようにいかないのか?』という声をよく耳にする。それこそまさにわれわれが提供したいものである。つまり、企業環境におけるGoogleアプリケーションだ」(Glotzbach氏)
今回、Google Docs & Spreadsheetsが追加されたことから、すでに約10万人もの小規模企業や大学関連のビジネスユーザーを誇るGoogleは、「Microsoft Office」や「OpenOffice.org」のような生産性スイート市場への参入を狙っているのかという疑問の声が上がっている。しかし、Glotzbach氏は、Google Appsが提供する協調性やモバイル性に関する機能は、インストールされたソフトウェアではなくインターネットブラウザからアクセスされるものであり、それらのアプリケーションとは全く異なるものであると主張した。
Glotzbach氏は、「ある分野においては(MicrosoftやOpenOfficeと)競合するが、大部分において互いに補完的な製品であるとわれわれは考えている」と述べた。「比較的大きな企業においては、現場の従業員やいつもデスクの前に座っているわけではない社員など、ユーザーによってはわれわれの製品の方がより適しているかもしれない。われわれの製品の方が、コストがかなり低いし、管理しやすく、ポータビリティという点でエンドユーザー向けの利点が多い」(Glotzbach氏)
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