影響力のある有力ブログに限定して広告を配信するベンチャー企業「アジャイルメディア・ネットワーク」が2月13日設立され、営業を開始した。広告収入をブロガーと折半することでブログの運営支援をするとともに、広告を配信するブログを厳選することで、広告主に媒体としての質の保証を図る点が特徴だ。
ブログは個人の情報発信ツールとして普及しているが、その運営費用をブログで賄えている人はほとんどいないのが現状。アジャイルメディア・ネットワークスは広告収入の半分をブロガーに提供することで、ブロガーが安定した収入源を持てるようにする。
IT関連のビジネスブログを対象としており、「[N]ネタフル」や「isologue」「Life is beautiful」など2月22日時点で12のブログが参加している。この12ブログのアクセス数の合計は月間300万ページビューという。ページビューが多く、質の高いブログに対して参加を呼びかけ、年内に50ブログ、将来的には100ブログにまで増やす計画だ。なお、参加するにはアジャイルメディア・ネットワークスのブログネットワークに参加するブロガーらによる委員会の審査を通る必要がある。
また、参加ブログはグーグルのアクセス解析サービスであるGoogle Analyticsを利用してアクセス数を計測する必要がある。アジャイルメディア・ネットワークスは自社開発の広告配信システムで計測したデータを元に、ブロガーと広告収入を分け合う。
掲載する広告はバナー広告と、企業ブログの新着エントリを紹介する「ブログ・オン・ブログ広告」(BoB広告)の2つ。BoB広告は、開設したブログのアクセス増に悩んでいる企業に向けたものだ。バナー広告は現在マイクロソフトが出稿している。
ブログへの広告配信としては、グーグルの「AdSense」のようなコンテンツ連動型広告や、エニグモの「プレスブログ」のように料金を支払ってブロガーに広告記事を書いてもらう手法などがある。アジャイルメディア・ネットワークスの場合、IT関連のビジネスに強い関心があり、しかもブログで積極的に情報を探すような先端的な読者にリーチできるという点が最大の売りだとアリエル・ネットワーク プロダクト・マネジメント室 マネージャでアジャイルメディア・ネットワークのコンサルタントを務める徳力基彦氏は言う。なお、徳力氏が運営する「FPNニュースコミュニティ」もアジャイルメディア・ネットワークのブログネットワークに参加している。
海外では有力ブログに広告を配信する企業としてFederated Media PublishingやWeblogs(2005年10月にAOLが買収)などがある。Federated Media Publishingは110サイトに広告を配信しており、総アクセス数は月間3億6500万ページビュー、年間売上高は1000万ドルを超えるという。
アジャイルメディア・ネットワークは2007年2月に設立されたばかりのベンチャー企業。経営陣には「Ad Innovator」の運営者であるDigital Media Strategies代表の織田浩一氏らが名を連ねている。
広告は当初すべてのブログに同じものが掲載される。ただし、参加ブログが増えてきた時点で、広告主が配信先のブログを選べるようにする考えという。また、ブロガーも掲載する広告を選べるようにしたいとのことだ。
広告代理店を通じて広告枠を販売するほか、ブログマーケティングを支援している企業と協業して広告主を開拓する。2007年中に1億円の売り上げを目指す。
また、ブロガーの支援も進める。ブログネットワークに参加するブログの新着記事をほかのブログに表示したり、ブログの書籍化やブロガーの講演出演の支援をしたりすることで、ブログの知名度向上とページビューの増加を図る。さらに、ブログに書いたことがきっかけで訴訟問題が発生した場合には法務対応も請け負うとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス