電通は2月20日、日本の総広告費と、媒体別、業種別広告費を推定した「2006年(平成18年)日本の広告費」を発表した。4マスと呼ばれるテレビ、新聞、雑誌、ラジオの広告費が落ち込むなか、インターネット広告費が躍進し、雑誌に肉薄したことが明らかになった。
インターネット広告費は前年比29.3%増の3630億円と雑誌の3887億円に並ぶ勢い。インターネット広告費のうち、検索連動広告費は930億円で約4分の1を占めている。
インターネット広告の成長要因としては、ブロードバンド化やYouTube、GyaOといった動画サービスの登場により、動画サービス向けの広告出稿が増加傾向にあることが挙げられる。また、「続きはネットで」という形でテレビCMからネットへ誘導する手法が定着しつつあることから、サーチエンジンマーケティング(SEM)にも注目が集まっている。また、モバイル広告も、携帯電話の契約数増加にともないナショナルクライアントが続々と参入し、35.4%増の390億円規模に成長を遂げた。
2006年の総広告費は5兆9954億円で、前年比0.6%増。伸び率は前年より低下したものの、3年連続の増加となった。総広告費は、2004年の以降、景気回復基調とデジタル家電やインターネットの普及を背景にして増加しており、同1.8%増となった2005年に続き、2006年も前年実績を上回った。
2006年前半は、トリノ冬季五輪やワールドカップ、後半にはワンセグ放送開始や携帯電話番号ポータビリティ制導入にともない携帯電話の広告が活発化した。しかしその一方で、消費者金融や自動車、流通・小売業など、広告費が減少した業種が増え、前年の衆院選や東京モーターショーの関連出稿の反動減もあり、減少幅が拡大した。
媒体別の広告費は以下のとおり。
媒体 | 広告費 | 前年比 (▲はマイナス) |
---|---|---|
テレビ | 2兆161億円 | ▲1.2% |
新聞 | 9986億円 | ▲3.8% |
雑誌 | 3887億円 | ▲1.5% |
ラジオ | 1744億円 | ▲1.9% |
SP | 2兆2億円 | 0.9% |
衛星メディア関連 | 544億円 | 11.7% |
インターネット | 3630億円 | 29.3% |
総広告費 | 5兆9954億円 | 0.6% |
構成比の高いテレビ広告費や新聞広告費を含む、マスコミ4媒体の広告が2年連続で前年を下回った。その一方で、屋外や交通広告が増加したSP(販売促進)広告費が同0.9%の微増で3年連続の増加となっている。また、BSデジタル放送などの増加で衛星メディア関連広告費も同11.7%の高い成長を見せた。
2007年の総広告費の見通しについては、Windows Vistaの発売や統一地方選挙、参議院選、世界陸上選手権、東京モーターショーの開催、さらには日本郵政公社民営化やIT・デジタル関連の市場拡大といったプラス要因から情報・通信業種の出稿が増えて前年比1.1%増程度の成長になると予測している。
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