英国の通信大手BT Groupが、(放送中に)ストーリーが変更されていく、世界で初めてのテレビ番組の制作において、主導的な役割を果たしている。
現地時間12月27日にフィンランドのテレビで放送される「Accidental Lovers」は一味違うラブコメディーだ。番組放送時の視聴者の反応がその後のストーリー展開に影響を及ぼすのである。
今日のインタラクティブテレビの発展形の1つとして提供されるこのサービスでは、視聴者からリアルタイムに寄せられたSMSメッセージの内容によって、男女が恋に落ちたり、恋人同士が別れたりする。また画面には、視聴者からのコメントも表示される。
BTのプロジェクトリーダーDoug Williams氏は12月12日にZDNet UKの取材に応じ、Accidental Loversは従来の方式で放送されるため、視聴者全員に同じストーリーが配信されることになると述べた。しかし長期的には、カスタマイズされた番組を先週始まったBT VisionなどのIPTVプラットフォームを通じて配信したいと考えているという。
Williams氏は、「われわれが今開発しているものは、パーソナライズドテレビに通じる」と述べ、現在このアイデアについてBT Visionと交渉中であることを明らかにした。もっとも、これをVisionのサービスに組み入れる計画はまだ具体化していないという。
BTはこのプロジェクトを発案し、ここで使用されるソフトウェアを作成した。プロジェクト自体は現在、ロンドンのケンブリッジ大学やゴールドスミス大学も参加する欧州のコンソーシアムによって運営されている。
Williams氏は、「われわれは、ストーリーを説明する手段を考案しなくてはならなかった」と述べ、ユーザー生成型のストーリー展開をまとめられるようにするには、「ストーリー用の構造化言語」を用意しなくてはならなかった、と加えた。
こうしたテレビ番組の提供で必要とされる技術は「セマンティックウェブ」のそれに通じるところがある。どちらでも、ユーザーの入力に応じてすばやく完成形を組み立てるために、オブジェクトを半自動的に分類する仕組みが必要になる。
Williams氏は、「メディアの中に登場する各アイテムとその役割、ストーリー内での位置付けを分かりやすく指定する必要がある」と説明した。
Gutenbergが印刷機を発明してから英語の小説が登場するまでに150年かかったように、従来のメディア制作ワークフローが進化し、最終的なパーソナライズドテレビが完成するまでには長い道のりがあるとWilliams氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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