サイト誘導効率は200倍--KDDIとテレ朝がワンセグのビジネス検証結果を発表

 KDDIとテレビ朝日は12月8日、2006年4〜9月に実施した携帯電話向け地上デジタル放送「ワンセグ」のビジネス活用に関する共同事業検証の結果を発表した。

 報告によると、ECサイトへの誘導は据え置き型テレビ向け地上デジタル放送に比べ、ワンセグは200倍と圧倒的な訪問効率を示した。ワンセグの利用時間ということで見ると、月間視聴時間は約4時間だった。

 共同事業検証の対象範囲は、「着うた」などのデジタルコンテンツや広告(SP=セールスプロモーション)、物販(EC)など各オンラインメディア事業。対象事業において、ワンセグがどのようにビジネス活用できるのかを調査・検討することを目的として実施した。

 具体的には、実際にテレビ朝日で放送された「音魂」「セレクションX」「7人の女弁護士」などにワンセグ連動データ放送を付加し、実際の通信ビジネスが発生する従来の携帯サイトへの誘導状況などが検証された。

 ショッピング番組とECサイトを組み合わせた事業検証については、ワンセグでの視聴者数が全体の0.14%程度(推定)だったのに対し、実際にサイトを訪れた視聴者数は28%。商品購入者は8%だった。

 訪問者に対して購入者の割合が低めになった点については、「購入意欲を喚起させるワンセグでの演出手法の確立が必要」としている。

 ワンセグ利用の頻度・接触時間は1カ月あたり平均で7.3回、1日あたりの平均視聴時間は35分程度だった。

 これについては今回、特定番組の放送開始を知らせる「アラート機能」など端末側機能と連携して「見始めるきっかけ」を与えることで視聴者の増加に成功したとしている。このことを踏まえ、今後、見始めるきっかけについて強化すれば「(利用頻度は)もっと伸ばせる」との見解を示した。

 一方で、サイト訪問のタイミングがCM中(番組の合間、放送終了直後など)に集中する傾向があるなど、テレビへ出稿する広告主などにとっては必ずしも喜ばしくない事実も浮き彫りになった。検証前の会見で注目を集めた「広告付加価値」に関する報告については、テレ朝側から「SPの効果あり」と報告があった程度にとどまった。

 KDDIがビジネス展開の将来像として挙げていた「キャリア側への対価」という名の事実上“キャリアが広告事業に足を踏み入れる展開”については触れられなかった。

 なお、数値データはKDDIの持つ契約者情報と通信記録からの統計情報、テレビ朝日のBMLサーバ通信記録などが対象。各種データや数値は、各放送事業者や他キャリア、広告会社などにも報告されているという。

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