ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をビジネスの視点でとらえ、マーケティングや広告、企業内外での活用について紹介するイベント「Business Blog & SNS World」が11月16日から17日に開催された。
11月16日には、Winny弁護団事務局長としても有名な弁護士である壇俊光氏による「ブログのリスクと対策〜Web 2.0時代のリスクマネージメント」というセッションが行われた。壇氏はWinny制作者である金子勇氏と弁護団との2年間の経緯を報告するブログ「Attorney-at-law」を開設しているほか、自己のブログ「壇弁護士の事務室」も公開している。
壇氏はまず、ブログやWeb 2.0の定義の解説した。ブログは「web(ウェブ)」と「log(記録)」を組み合わせた「weblog」が語源となっており、「ブログ」という名称が定着した。日本では「ウェブにつける日記」という印象が強いが、世界的には「自分なりの意見を発表する場」という認識が一般的だ。基本的に特別な知識を必要とせずに記事を書けて、私的ニュースサイトの体裁をとっている。また、コメントやトラックバックなどのWeb 2.0的な技術によってコミュニティを作る要素が提供されている。
Web 2.0は、「次世代Webの現象の総称」とされており、単一の技術やキーワードを示すものではない。いくつもの要素が折り重なっていく中でのインターネットの変化を表現したものであり、多分に概念的だ。Web 2.0の特徴を挙げるとすれば、一方向のコミュニケーションではないこと、ソーシャルが形成されていくことであろう。しかし、このような現象は性善的な見方では素晴らしいが、同時にトラブルが起こりやすいという。
ここで壇氏は、ビジネスにおけるホームページの重要性について説明した。ホームページは安価に利用できる広告媒体であり、インターネットの普及によってその効果も期待できるようになった。また、情報検索性の高さからユーザーが欲しい情報を検索することが多くなったため、ピンポイントな広告が可能になった。さらに広告から購入窓口(サイト)へシームレスな誘導が可能であることや、広告の容量が無限といえるため詳細な商品情報やCI(企業情報)を掲載できることもメリットであるとした。詳細な情報を提供できることは、商品や企業への信頼感を高め、他社と差別化できる。
また、ホームページは携帯電話から閲覧できることもメリットが大きい。携帯電話は、日本で最も普及しているインターネット端末であるからだ。そしてホームページの内容はいつでも修正、変更できる。これは時流などに合わせて商品の見せ方を変えられるということでもあり、広告として非常に優秀だ。24時間いつでも見られることもポイントが高い。しかし、その半面で広告の波及効果に時間がかかる傾向があるので、急速な展開への反応が得にくいというデメリットもある。
では、ホームページをブログに置き換えた場合はどうだろうか。壇氏はまず、ブログはホームページに比べて作成が容易であることを挙げた。更新作業が簡単で、自分でやれば人件費も無料である。また、継続的に記事を作成していくことで、継続的にユーザーに見てもらえる。これにより企業や商品の知識を深く紹介でき、信頼性を印象づけられる。トラックバックやコメントによってコミュニティが形成され、情報が広がっていくというメリットもある。
一方、ブログのデメリットとして、テキストベースであるため商品説明が困難であること、複雑なCGIなどを用いるのが難しいことなどを挙げている。そのため現状では、あくまで企業のホームページ戦略の補助として、ブログを活用すべきだとしている。ホームページでは企業や商品、サービスを紹介し、ブログでは社長や社員が日々感じていることなどを掲載することが望ましいという。
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