Yamamoto氏はCNET News.comの取材に対して、CopyBotは実験用およびデモ用ツールとして作成されたもので、違法な盗みへの利用を意図したものではないと語った。とはいえ、このツールはオープンソースライセンスによって作成されているため、Second Lifeのユーザーたちがこれを入手し、今では自由に使用し配布している。
「違法ツールといった性質のコードではない。すべてのクライアントが受け取る正当なクライアントデータを扱うものだ。受け取ったデータをパケットに変換し、オブジェクトやアバターの外観をコピーしてサーバに返送する。インポート/エクスポートツールのような働きをする」とYamamoto氏は語る。
CopyBotを作成したグループであるLibSecondLifeは、「サードパーティーによるSecond Life開発に対応する、安定したプラットフォームの作成を目的とするオープンソースプロジェクト」だと、その意図を自らのサイトに掲げている。動機は利他的だったのかもしれないが、このツールはすでにこのグループでは管理しきれなくなっているようだ。
そしてこの現状に、多くの住人が非常に困惑している。
「この世界での創造性の本質は、主として制作者とその制作物が保護されることによって支えられている。このツールはその保護をすべて破壊する。ここでみんなが営んでいるようなビジネスを構築しようと努力をした結果が、すべて盗まれかねないのだ」と、コンテンツ制作者のMallon氏は語る。
Isabella Lazarnoと名乗る住人も同じ意見だ。
「みんながこの世界で生み出したすべてのものに影響が出る」と、Lazarno氏。
一例として、住人のDamanios Thetan氏は、CopyBotでオブジェクトをコピーすることがどんなに簡単か、実際にやってみせた。
Thetan氏はCNET News.comに対して、仮想世界のなかの車をほんの数秒でコピーしてみせてくれた。同様に、自分のアバターも素早くコピーした。
「私の(もう1つのアバター)は、CopyBotが動かしている」とThetan氏は手順を説明しながら語った。「(CopyBotは)車を完全にコピーする。私が取り付けたものすべてをコピーするのだ。コピーしてしまえば、(私に)完全なアクセス権が得られる。あとは好きなだけ複製を作れるわけだ」
一方、CopyBotへの懸念は、大げさに騒がれすぎていると考える住人もいる。
Second Lifeで「Spin Martin」と名乗るブロガーのEric Rice氏は、この仮想世界の加工品を長い間、複製可能なデジタルコンテンツだと認識してきたという。
Rice氏は「彼らはデジタルの世界でビジネスをしている。最初からデータのコピーなんてできたわけだが、その点について誰も明確に論じてこなかった。それだけのことかもしれない」と述べる。
しかしRice氏は、コンテンツのクリエーターたちが、自分たちのビジネスが脅かされていることを恐れる理由にも理解を示している。
「自分が興味を持っているのはRIAA(全米レコード協会)のような物の見方だ。みんなが感情的になって自分の作品を守ろうとしている」(Rice氏)
コンテンツクリエーターたちがSecond Lifeで会合を続けるなか、Linden Labもこの問題の整理に乗り出している。
Ondrejka氏は自身のブログで、自分のコンテンツがCopyBotを使って盗まれた人は、DMCAに基づく削除請求を出すとともにLinden Labに通知して欲しいと、ユーザーに呼びかけた。Linden Labはおそらく、コンテンツクリエーターの代わりに何らかのアクションを起こすつもりのようだ。
しかし、その一方でOndrejka氏は、Linden LabがCopyBotなどのツールの利用を即座に阻止できない理由も説明している。
「WWWの世界と同じで、スクリーン上に表示されたデータのコピーを防ぐことはできない。Linden Labが技術の開発競争に参戦し、コピーを阻止する動きに出ることもできるかもしれない。しかし、この技術もいずれ破られ、Second Lifeの中の健全なプロジェクトに被害を及ぼすようになるだろう」(Ondrejka氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力