ソフトバンクは11月7日、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「MySpace」の日本版「マイスペースジャパン」のベータサービスを開始したことを正式に発表した。
MySpace日本語版については、11月6日にすでに報道されているとおり、ベータサービス(試験サービス)がすでに開始されていたが、ソフトバンクは「ノーコメント」を通していた。ソフトバンクでは11月7日が正式なサービス開始としている。
ソフトバンクはRupert Murdoch氏率いる米News Corporationグループ傘下でオランダに本社を構えるエフ・アイ・エム・インターナショナル B.V.(FIM)との間で合弁会社マイスペースの設立に合意し、同日に契約書に調印した。合弁会社の設立は11月中旬の予定で、資本金は約5億9000万円となっている(資本準備金も同額)。出資比率は50対50となっている。
マイスペースの経営陣は、代表取締役社長に香山誠氏(ソフトバンク・ヒューマンキャピタル代表取締役社長)、取締役に孫正義氏(ソフトバンク代表取締役社長)、宮内謙氏(ソフトバンク取締役)、Peter Chernin氏(News Corporation COO)、ロス・レビンソン氏(エフ・アイ・エム・インターナショナル社長)、Chris DeWolfe氏(MySpace CEO)などとなっている。
7日に都内で開かれた会見の冒頭で孫氏は「私がもっとも尊敬する経営者で実業家のMurdoch氏と共同事業を日本で行えるということで大変嬉しい」と語った。また、Murdoch氏はソフトバンクについて「技術企業なだけでなく孫氏は素晴らしいビジネスリーダー。またインフラも持っており、グローバルサイトのローカライズにも成功している」と評価した上で「大きな成功を両社によせることを確信している」と語った。さらにChris氏は「5カ月前には日本でのサービスについて深く考えてなかった」と前置きし、「孫氏というすばらしいパートナーに出会えた。前向きに本格的なサービスをしていきたい」とした。
MySpaceは2004年1月に米国で開始して以来、約3年で登録ユーザー数は約1億2500万人を有する世界最大規模のSNSとなり、現在も毎日約32万人のユーザーが増え続けている。1秒当たり3.5人のユーザー増加数で、これは1秒間に2.5人という世界の人口増加数を超える勢いとなっている。「最後は世界の人口を超えるのではないかというモンスターサイトだ。」(孫氏)
サービスの利用には招待制を採用しておらず、ユーザー登録すれば自由に利用が可能。また、一般的なSNSに比べて、自分専用のページを自分好みのデザインに変えられるという自由度が高い。
さらに、米国ではメジャー、インディーズ含め300万組以上のアーティストが登録をしており楽曲をアップロードしている。MySpaceで有名になったインディーズアーティストなども存在する。国内アーティストについても「続々参加を決定している」(孫氏)という。
MySpaceの特徴の1つとも言える楽曲の公開機能だが、現時点ではマイスペースジャパンでは利用できない。著作権の処理のため、JASRACなど著作権団体と現在調整中で「権利処理が済み次第公開していく」(香山氏)としている。一部で権利処理が済んでいない洋楽を自分のページに貼り付けられる状態だが、「国内のレギュレーションに従い削除していく」(香山氏)としている。また、楽曲公開機能に限らず、今後は日本のユーザーの意見を反映してローカライズや独自サービスも予定する。
収益の中心は広告。広告主が自社の商品をユーザーに見立てて登録し、その商品のファンになったユーザーを介して口コミで宣伝を行う「Ad Profile」を始め、多数の商品を揃えていく予定だ。具体的な収益目標については「まだ予算を決めている段階であり未定」(香山氏)という。
携帯電話でのサービス展開については「技術仕様を公開していただければ、一緒にやっていく。基本的にはあらゆる携帯電話に順次対応していく」(孫氏)としている。また、ソフトバンクモバイルにはボーダフォン時代から開発していたSNSのプラットフォームがあると説明し、そのプラットフォームにMySpaceのサービスを乗せ替えることで「他社より早くやっていけるかもしれない」(孫氏)とした。
ところで、ソフトバンクのグループ企業であるヤフーはSNS「Yahoo! Days」を提供している。また、その一方でMySpaceは米国でGoogleと提携しており、今後両社との関係が気になるところだが「さまざまな可能性がありうる。(Googleと提携する)義務はないし、排除するつもりもない」(孫氏)と語るにとどまった。加えてMurdoch氏も「Googleとは米国で提携しているが、日本のサービスとは別のもの。交渉中であるということだけ申し上げる」とした。
また、マイスペースジャパンとヤフーが競合する可能性については「ヤフーはヤフーなりの強みがある。広告やオークション、ショッピングなど『総合デパート』としていく。MySpaceはあくまでもSNSを中心事業としていくので異なった軸足がある」(孫氏)と語り否定した。
米国ではMySpaceを介して子供が事件に巻き込まれることが問題となり、14歳以下のユーザー登録禁止、18歳以下のユーザーを検索できないようにするといった対策がとられてきた。日本でも年齢制限を設け、セキュリティ担当者を置いて、地域や学校と協力し使い方を啓蒙していくという。
国内のSNSとしては最後発のサービスとなるが、会員数600万以上を誇るmixiを追い抜けるのかと言うことについて、孫氏は「やってみないとわからない。ただやる以上はSNSの分野でもナンバーワンになりたい。なれるつもりで頑張る」と語る。また、mixiをはじめとした一般的なSNSについて、招待制で、文字と写真しか使えない定型フォーマットであるとして、「MySpaceは自由に誰でも参加できる。また非常にマルチメディア型。1回使えばその良さを感じて(ユーザーが)広がる」とした。
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