著作権で保護されたデータをYouTubeにアップロードしているユーザーは、著作権紛争に際してYouTubeから一切の保護を受けられなかったとしても、驚いてはいけない。
ビデオ投稿サイトのYouTubeは、著作権者からの告発があった場合、映画やテレビ番組のビデオクリップを投稿したユーザーに関する情報を(そういった行為をするユーザーの間ではあまり知られていないことかもしれないが)著作権者に提供することがある。
ロサンゼルスを本拠とするジャーナリストRobert Tur氏は1992年のロス暴動の様子を記録した人物で、YouTubeで自分のビデオクリップを多数発見し、2006年7月にYouTubeを相手取り訴訟を起こした。Tur氏の弁護士Francis Pizzulli氏によると、YouTubeの弁護士はTur氏への書簡の中で、Tur氏はYouTubeではなくビデオをアップロードしたユーザーの責任を追及すべきだと述べたという。
Pizzulli氏によると「書簡では、Tur氏はYouTubeのユーザーを相手取って訴訟を起こすことができる、と提案されていた。(有効な召喚状が発行されれば)ユーザー情報を著作権者に提供するのはYouTubeのポリシーであるということだった」という。
MarketWatchの米国時間10月20日付けの記事によると、YouTubeは別件において2005年夏、Paramount Picturesが著作権を持つ脚本に基づいてビデオを製作したとしてParamountに訴えられていたChris Moukarbel氏について、召喚状を受け取った後に情報を提供している。
YouTubeの担当者はCNET News.comの取材に応じなかった。
提訴された違法ユーザーを保護しないのは、驚くようなことではない。YouTubeは常に法令を遵守すると明言し、著作権で保護されたデータの投稿は望まないと言い続けてきた。この文言は、YouTubeの利用規約や、ビデオのアップロード前に表示されるプロンプトウィンドウにも掲示されている。
また同社は、著作権侵害を指摘された場合、ビデオを削除するということも表明している。
しかしYouTubeの人気は、映画やテレビ番組の違法投稿によるところが大きい。
YouTubeが注目を集め始めたのは、NBCのテレビ番組「Saturday Night Live」の映像が投稿されてからのことだ。人気番組のビデオが掲載されたことでYouTubeは話題になり、NBCは同社に削除を要請した。以後、スポーツの試合、ニュース番組、映画、ドラマ、音楽ビデオなどが掲載されていった。
そして10月に入り、Googleが16億5000万ドルでの同社買収を決断した。決断を後押ししたのは、YouTubeが月間1600万ものビジター数を誇ることだった。
この買収が発表されるとコンテンツ企業は、自社の著作権を利用してYouTubeなどのサイトが利用者を集め続けていることに対し、不満の声を上げ始めた。20日には、日本のコンテンツ企業が合同で2万9000以上のビデオを削除するようYouTubeに要請し、同社はこれに応じた。
Universal Music Groupは10月17日、ビデオ投稿サイトGrouperとBolt.comを相手取り、著作権侵害の疑いで訴訟を起こしたと発表した。同社がこの訴訟の対象にYouTubeを含めなかった理由は明らかになっていない。
YouTubeでは現在、著作権侵害を阻止する新しい手法を検討しているところだと同社は述べている。また同時に、著作権侵害の責任は自社ではなく、ユーザーの側にあると、YouTubeは言う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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