最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

マーケティングチャンネル

ビント・サーフ氏、「クリエイティブになれ、もっと創造しろ」と日本人に喝

藤本京子(編集部)

2006/09/12 19:20  

 インターネットの基本的なアーキテクチャの設計に関わり、「インターネットの父」とも呼ばれているVint Cerf氏。2005年10月に、それまで在籍していたMCIを離れ、Googleの副社長 兼 チーフインターネットエバンジェリストに就任している。そのCerf氏が来日し、報道陣を前にインターネットの世界について語った。

 Cerf氏がGoogleに入社する決心をしたのは、「これまでインターネットのインフラとなる部分に関わってきたが、今度はアプリケーション部分に関わりたかった」と考えたためだ。「インターネットのアプリケーションを創造する場としてGoogleが最適の場だと思った」と同氏は述べ、現在のGoogleのサービスの中でも、紙の情報をデジタル化しようという「Google Book Search」や、「Google Talk」および「Google Spreadsheed」をはじめとするコラボレーションツールに注目していると述べた。

Vint Cerf氏 インターネットの今とこれからについて語るVint Cerf氏

 Cerf氏は、Googleの社風も気に入っているようだ。「Googleでは、仕事時間の70%は自分の仕事に費やさなくてはならないが、残りの20%は他人のプロジェクトを手伝うことが許されている。また、あとの10%は全く好きなことをやっていいことになっている。インターネットの世界では、クリエイティビティ(創造力)が必要なので、このシステムは歓迎すべきこと」とCerf氏は言う。

 また同氏は、「できないように思えることでも、とりあえずGoogleのみんなはやろうとする。時々本当にできないまま終わってしまうこともあるが、20年前に私が試みてだめだったから無理だろう、というような考えは全くない」と述べ、こうした環境が重要だとした。

インターネットの可能性

 Cerf氏は、今メディアの世界で起こっていることとして、「ユーザーは、自分のやりたいこと、見たいものを、自分で選択したいと感じているはずだ」と話す。現在テレビやラジオで提供される番組や広告は、放送局が番組と広告を組み合わせ、決まった時間にコンテンツを提供しているが、「本当はみんな自分の好きな時間や好きな場所で自分の好みのコンテンツだけを見たい、自分に必要な情報だけを入手したいと感じている」とCerf氏は主張する。気に入ったコンテンツを好きな時に欲しいだけ購入できる「iTunes Music Store」や、ユーザーの好みを学習してテレビ録画を行うハードディスクレコーダー「TiVo」(日本未発売)などがこれだけ大きく注目されたのも、「ユーザーが自分で自分の好みを管理できるためだ」とCerf氏はいう。

 その上でCerf氏は、「インターネットは、まさにユーザーが自分の好みによって得る情報を管理できるメディアだ」と説明する。Googleの大きな収益源となっている広告にしても、「強制的に見せているわけではない。ユーザーは、この広告が見たいと思った場合のみクリックすればいいのだ」とCerf氏。広告を見る・見ないといった選択肢がユーザーに与えられており、自由度が高まったというわけだ。

 またCerf氏は、「今後すべてのデバイスがいつでもオンラインになる時代が来る」と指摘する。すでにPCのみならず、携帯電話でのインターネット接続は当たり前となりつつあるが、「家電などのデバイスもすべてつながるようになる。例えば、携帯電話と自宅のエンターテインメントシステムが連動し、遠隔地から携帯電話で自宅のシステムに命令を送るといったように、マルチデバイス間でのインタラクションがさかんになる」とCerf氏は近未来像について語った。

 さらにCerf氏は、文字入力のみの世界から、音声チャットやビデオチャットが幅広く利用されつつあるインスタントメッセージ(IM)においても、「コラボレーションができるようになる」と話す。「すでにゲームの世界では、オンライン上でつながった者同士が共同で敵を倒すといったことが行われている。今後コラボレーションアプリを利用して、ネット上でさまざまなグループ作業が可能になるだろう」(Cerf氏)

日本の環境は最高

 Cerf氏は、米国などで問題となっているネット中立性についても意見を述べた。これは、通信業者が、Googleなどインターネットのアプリケーションプロバイダに対し、より高速にサービスを提供するため料金を課すという考えが発端となったものだが、Cerf氏はこの件に対し、「とんでもない法案だ」と顔をしかめる。「これでは、新しいサービスを生み出す気力がなくなってしまう。また、立ち上げたばかりのベンチャー企業などは、特別料金を支払う余裕がないため、いつまでたってもユーザーにサービスが行き渡らないといったことになりかねない。ユーザーにとっても、すべてのサービスに平等にアクセスできるというインターネットの恩恵が受けられないことになる」(Cerf氏)

 Cerf氏は、これまでインターネットの世界がオープンで平等であったように、「今後もインターネットは平等であるべきだ」と話す。また、日本ではこの件が問題視されていないことについて「非常にいいことだ。日本はブロードバンドインフラも整っており、さまざまなインターネットアプリケーションを生み出すための最高の環境がある。これほどの環境があるのだから、クリエイティブになっていろいろなサービスをもっともっと生み出すべきだ」と述べた。

マーケティングチャンネル コラム

■ユーザー中心によるネットマーケティングROI最大化

進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能
近年のウェブサイトリニューアルプロジェクトでは「ユーザビリティテスト」を実施することが当たり前になってきたようです。今回は、単なる「使いやすさ調査」を超えた「ユーザー行動観察調査」の効果・効能を紹介します。

■ユーザー中心によるネットマーケティングROI最大化

ユーザー中心アプローチの時代
企業におけるネットマーケティングの成否の分かれ目は、ユーザ行動特性の理解と「ユーザ中心」に基づく戦略・設計にある。ビービットの500を超えるユーザビリティコンサルティングの実績をもとに、ビジネス成果を最大化するネットマーケティングの本質に迫る。

■モバイルSEOのはじめ方

モバイルはバーティカル検索へ--ケータイサイトオーナーは何をすべきか
モバイルの検索エンジンがPCの検索エンジンとは違った形で発展している中で、モバイルウェブの担当者は何をすればよいか? 今見えている検索サービスの変化から考えてみたい。

データ

企画特集

ネットと家電をつなぐチャレンジ「Life-X」
第一題:ライフログ・シェアリングサービス「Life-X」の第一印象は?
エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」
【第2回】メーカー/占いのコンテンツを作ってみた!

■調査レポートダウンロード

金融不安の市場に、IR活動は何を頼るか!?
CMS未導入企業300社へのアンケート 担当者のホンネを徹底追求

■調査発表

【ゲームクリエイターの方へ】攻めの開発体制を敷くAQインタラクティブ社の中途採用・求人情報をレポート
Alibaba JAPAN、カー用品店に関する調査 カー用品専門店の認知、利用ともトップは「オートバックス」
調査結果「携帯OS『Android』認知度調査、6割が『知らない』 〜ユーザー期待のメーカーは?」

レビュー

今週の新製品総チェック:新PS3が登場!ニコンが発表した映像製品「UP」とは?
「東京ゲームショウ2008」が10月9日から開催され、新PS3やXboxの新作ゲームなど、ゲーム機の大型発表が相次
[レビュー]2011年画質を備えた高画質、多機能Blu-ray--ソニー「BDZ-X95」
ソニーのBlu-ray Discレコーダー新製品が登場した。2007年から引き継がれる「やりたいことから選ぶ」シリー
今週の新製品総チェック:よりモバイルPCとして進化した「Let's note」が登場
松下電器産業の「Let's note」、デルのデスクトップPCとPC新製品が数多く登場した。Let's noteは9時間駆動
今週の新製品総チェック:フルサイズCMOS搭載のキヤノン「EOS 5D Mark II」が登場
キヤノンからもフルサイズCMOSセンサを搭載した「EOS 5D Mark II」が登場した。合わせてコンパクトデジカメ
今週の新製品総チェック:第4世代iPod nano登場、ソニー「α」、松下「LUMIX」に新機種も