インターネット上で入手可能な楽曲と言えば、これまでは合法的なものか、無料のもの(不正に無料配布されているもの)と認識している人が多かった。新興企業SpiralFrogはこの認識を覆し、合法かつ無料の楽曲を提供しようとしている。
SpriralFrogはニューヨークに拠点を置く従業員20名の企業である。同社はレコード会社であるUniversal Music Groupと楽曲を無料で提供するサービスに関する契約を締結した。収入は楽曲をダウンロードするユーザーに対する広告で賄われる。
「ユーザーは、自分の時間で対価を支払うことになる」と、SpriralFrogでセールスとマーケティングを担当する責任者のLance Ford氏は言う。SprialFrogは2006年12月にサービスを開始する予定で、楽曲はWindows Media Audio形式で提供される。ダウンロードされた楽曲はPCで再生できるほか、携帯音楽プレイヤーにも転送して再生できるが、AppleのiPodでは再生できない。
SpiralFrogは「iTunes」の競合と位置づけられることもあるが、同社の構想はむしろNapsterやMTVの「Urge」などの会員サービスに近い。ユーザーは毎月同社のウェブページを訪問し、ダウンロードした楽曲の有効期限を更新する必要があり、これを行わないと有効期限が切れてその楽曲を聴けなくなる。
レコード会社が広告を収入源として楽曲を提供しようとするのは、これが初めてではない。8月に入り、EMIが新興企業であるQtraxと提携し、広告収入モデルで楽曲を無料で提供する構想を発表している。
EMIの広報担当者であるAdam Grossberg氏は、同社は多くの異なるビジネスモデルを試行しており、その中に広告収入によって楽曲や映像の提供を支えるモデルも含まれていると述べている。「広告収入による楽曲配信は、EMIにとって新しい収入源になり得る」とGrossberg氏は言う。EMIはSpiralFrogとも交渉している。
UniversalはSpiralFrogとの契約についてはコメントしていない。
ただし、今回の合意に詳しい人物によれば、Universalには前払い金が支払われ、サービスによって生じた収入の一部も分配される。UniversalとSpiralFrogの契約は1年間だが、Universalはこの試みが有効であれば契約期間を延長する意向だという。
インターネットによって加速している近年のファイル共有ツールとの戦いの中で、レコード会社は所有する楽曲から収入を得るビジネスモデルを模索している。一方で、高速インターネット接続の利用の広まりによってウェブ経由の消費が増えることを見越し、多くのコンテンツベースの企業が立ち上がってきている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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