米国時間8月15日、ある著名な法学者が、LinuxがOSに行ってきたのと同じことを、インターネットはコンテンツに対して行うべきだと、強く訴えた。
Lawrence Lessig氏は、サンフランシスコで開催されているLinuxWorld Conference and Expoでの講演の中で、現行の著作権法を強く批判すると同時に、自らが著作権法の代わりとして提唱したCreative Commonsライセンスの使用を強く促した。同ライセンスは、オープンソースソフトウェアやフリーソフトウェアの分野において、プログラムのコピーや修正が認められているのと同様に、音楽、映像、写真、テキストといったコンテンツの再利用や改変を認めている。
スタンフォード大学ロースクール教授のLessig氏は、Windowsが市場を独占しているとしてMicrosoftを攻撃している司法省の弁護士らは、Windowsのライバルと目されながらも敗れたIBMのOS/2にこだわりすぎていると述べる。これに対してLinuxは、集中管理されておらず、プロプライエタリでもないOSでも存続することが可能なことを証明した、と同氏は語った。
「フリーカルチャーのための戦いは、フリーソフトウェアのための戦いよりも厳しい。フリーソフトウェアに対する法律は存在しないが、フリーカルチャーを実質的に阻害する法律は存在する」(Lessig氏)
Lessig氏の世界観では、弁護士、ロビイスト、政治家らは、「read-only」の文化的コンテンツの世界を構築している。「(そのような世界の)文化は、ポテトチップスと同様に、消費される一方で創造されない」と同氏は語る。これに対し、インターネットは、人々が情報交換しながら共同で製作し、リミックスした「read-write」コンテンツを育てている。
「著作権法は、恐らくread-writeのインターネットの世界と衝突するだろう。(著作権法の下では)コンテンツを使用する度に規定された許可を得なければならない」(Lessig氏)
Creative Commonsライセンスは、基本的にその著作権法を回避するための手段だ。そして、Lessig氏は過去4年間の同ライセンスの成功を誇りに感じている。6月現在、インターネット上に存在する同ライセンスを用いたコンテンツ数は1億4000万に上り、GoogleやYahooの検索エンジンでは、同ライセンスを使用するコンテンツの検索が可能だ。
Lessig氏は、著作権法で保護されたコンテンツを組み合わせて政治の論評解説映像やユーモラスな映像を作る方法を解説するために、アニメやニュース映像、音楽を混合した様々な映像を披露した。そのようなリミックスは、そのための法的枠組みの有無に関わらず行われるであろうが、Lessig氏は、そのような行為が海賊行為とみなされないような法的枠組みの構築を支持する議論を展開した。
「(法の支配はとりあえず置いておいて)われわれの社会に組み込まれている価値は、子供たちに成長の過程で理解してもらいたいと思えるものか否かを自問しなくてはならない」(Lessig氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」