オンラインゲーム市場、中国と台湾の現在

 経済産業省が推進する産業クラスター計画のプロジェクト、首都圏情報ベンチャーフォーラムが7月31日、「第7回オンラインゲームフォーラム研究会」を開催した。

 2005年に国内のオンラインゲーム市場が820億円を超え、盛り上がりを見せているが、海外の状況はどのようになっているのだろうか。中国と韓国の市場動向をオンラインゲームフォーラム事務局の川口洋司氏が、台湾の動向を台北市コンピュータ同業協会の吉村章氏が紹介した。

 首都圏情報ベンチャーフォーラムは、2005年度から独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)と提携し、中国ならびに韓国のオンラインゲーム市場を調査してきた。韓国市場については8月第2週目、中国市場は8月中にJETROのサイトにて最新版の報告書が公開される予定だ。

 日本と韓国では、オンラインゲーム企業の提携が2005年5月1日から2006年6月1日までの間に5件あった。コナミとテウォンC&Aホールディングスの例をはじめとして、合作投資、技術提携、マーケティング提携などがある。

 中国のゲーム関連産業を見ると、2005年末にプレーヤー数が2634万人に達し、前年と比較して47%増えた。同年における日本のプレーヤー数が約2807万人で、数値だけを見ると同等の規模だが、全体の人口を考えると、中国のほうが潜在力は大きい。このため、日本はユーザー数で中国に抜かれていくだろうと川口氏は予測している。

 2005年9月末の調査によると、台湾でのインターネット人口は952万人。オンラインゲーム人口はそのうちの半数近い約400万人で、約180万〜200万人がアクティブユーザーという。1カ月の支払い料金は平均で300元(邦貨換算で1000円)程度となっており、ブロードバンドの利用料金が900〜1000元という物価の中、オンラインゲームは現状、「お金のかかる遊び」という認識が強い。

 台湾のオンラインゲームは、1999年に「ストーンエイジ」と「リネージュ」の2タイトルがブレイクし、市場に火が付いた。2005年には市場規模が80億4500万元(邦貨換算で約280億5000万円)にのぼり、前年比12%増となった。一方で、同年度のパッケージゲーム市場規模は同13%減の1521万元になっている。

 台湾では、オンラインゲームのシェアがゲーム全体市場の84%を占め、PCゲームが主体となっているのが大きな特徴である。しかし、2003年に市場規模はピークに達しており、飽和状態を迎えて過当競争になっている。

 台湾のオンラインゲーム市場の強みはどこにあるのか。吉村は環境の成熟、豊富な運営経験、政府の積極的な産業政策などを挙げた。 日本ではコミック産業が発達しており、アニメやキャラクターグッズなどに発展させているが、台湾では同様のビジネス展開がゲームを機軸になされている。また、国から委託を受けているデジタルコンテンツ学院という組織があり、日本からの業務提携や共同開発もここが有力な窓口となっている。

 台湾政府は「両兆双星」という産業政策の中でコンテンツ産業に注力しており、6年間で40億元の支援をし、人材に関しては育成に70億元の支援をしている。

 吉村氏は、今後アイテム課金が主流となり、ユーザーが好きなものだけ選べて遊び放題という「ケーブルテレビ方式」のビジネスモデルがトレンドのひとつになると予測している。中国でのビジネス展開を視野に入れ、マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム市場も取り上げていくことが台湾の今後のビジネスの可能性、方向性を広げていくと結んだ。

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