ICANNがアダルトサイト用ドメインを新設する案を否決したことについて、アダルト業界と保守派団体の両者から喜びの声が上がった。
ドメイン名やIPアドレスを管理する非営利組織のICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は米国時間5月10日、ポルノ関連サイトのドメイン名の末尾に.xxxを付ける案を否決した。Family Research Council:FRCなど、米国の保守派団体は、ICANNの決定を歓迎した。
FRCのバイスプレジデントCharmaine Yoest氏は、経済および金融関連ニュースサイトのBloombergに対し、「(ドメイン新設案が可決されていれば)ポルノ業者らはドメインを強制的に奪われるところだった。ICANNは間違いなく正しい決断を下した」と語った。
一方、アダルト業界の一部からもICANNの決定を歓迎する声が上がっている。アダルト業界のオブザーバーであるScott McGowan氏は、EyeOnAdultと呼ばれるサイトに掲載された記事の中で「こんなに嬉しいことはない」と感想を述べている。また同氏は、アダルトサイト用トップレベルドメインの新設を提案したICM Registryはについて、単に金もうけがしたかったのだと主張した。
「保守派とポルノ業界の見解が一致するというのは、たとえ両者の動機は異なるとはいえ、画期的なことと言えるだろう」とMcGowan氏は語る。
「(ICM Registryの提案が)一攫千金を狙った計画であることは誰の目にも明らかだったと考えている。ICMは、まるで自分が神であるかのように、オンラインアダルト業界を自分のイメージ通りに創造し直し、そこから利益を得ようとしていたのだ」(McGowan氏)
また、米国を拠点に活動するウェブデザイナーで、これまで数々のアダルトサイトの作成を手掛けてきたClinton Alexander氏は、「.xxx」ドメインへの変更によりアダルト企業が得することはほとんどないと語った。
「(アダルトサイト用ドメインの新設の)決定に関わる全ての関係者の中で、実際に新設を希望していたのはICM Registryだけだ。同社が新設を希望した唯一の理由は、それが同社に巨額の利益をもたらす可能性があると考えたからだ」(Alexander氏)
「(.xxxドメインに変更しても)そこから新たな利益は生まれず(むしろ実際は、追加コストがかかる)、また将来、アダルトサイトの規制に利用される可能性があることから、アダルト企業はドメインの新設を望んでいない。人気、利益率ともに極めて高いウェブサイトのドメインの末尾を.comから.xxxに変更することに一体何の意味があるのか」(同氏)
さらにAlexander氏は、アダルト企業各社はアダルトコンテンツがより広く使われるようになることを目指しており、それゆえ.xxxドメインの新設に大半のアダルト企業が反対しているのだと主張した。
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