ワシントン発--米上院商務委員会の公聴会が米国時間2月7日に開催され、ネットユーザーらが自由にコンテンツにアクセスできるようにすべきだと、議員たちから意見が出された。しかし、ブロードバンドプロバイダに「ネットワークの中立性」の原則を押し付ける新法を制定すべきか否かについては、依然として議員の間で意見が分かれた。
同公聴会では、商務委員会のメンバーらが見解を述べ、それらについて、業界の関係者や識者らの意見を聞いた。現在、商務委員会は1996年電気通信法(Telecommunications Act of 1996)の改正を検討していることから、今期は少なくとも9回の電気通信関連の公聴会が予定されており、7日の公聴会もその1つだ。1996年電気通信法については、インターネットの爆発的普及に対応しておらず時代遅れと批判されてきた。
ネットワークの中立性とは、ブロードバンドネットワークを所有する企業が、自社の有利になるようネットワークを設定することを許さない考えのことである。例えば、自社のサービスだけを高速で転送することや、他のネットコンテンツおよびアプリケーション企業のサービスを高速で転送する場合は特別料金を課すことは禁じている。
この議論で反対派を形成しているのは、大手ブロードバンドサービス企業だ。彼らは、自分たちにはネットワークの構築に要した費用に相当する対価を得る権利があり、その権利を侵害するような連邦法が制定されれば、将来の高速ネットワークの構築に対する投資意欲が損なわれると主張している。
一方、インターネットコンテンツおよびアプリケーションプロバイダはネットワークの中立性を支持している。彼らは、インターネットの伝統的な開放性を維持するには、ネットの中立性の義務化が必要不可欠であり、それにより、ウェブユーザーらが全てのデータを自由に取得できる環境の整備をブロードバンド企業に確実に実行させることができると主張する。また、彼らは、ブロードバンド企業が追加料金を徴収すれば、その負担は消費者に回される可能性が高いと指摘する。
同公聴会で、Ron Wyden上院議員(民主党、オレゴン州選出)は、「あるビットが他のビットよりも優れているということがないよう、(ブロードバンドネットワーク上で送信される)全ての情報を同じ条件で入手可能にする」法案を提出する予定だと語った。仮に同法案が立法化されれば、ブロードバンドサービス企業各社は、ある企業のサイトを別の企業のサイトよりも優遇する(例えば、L.L. BeanよりもJ. Crewのサイトを優遇するなど)、自社コンテンツを優遇する、さらに、一般の消費者に提供しているインターネットアクセスよりも優れたプライベートネットワークを構築する、などの行為が禁じられることになる。
また、Barbara Boxer上院議員(カリフォルニア州選出)とByron Dorgan上院議員(ノースダコタ州選出)の2人の民主党議員は、いわゆるインターネットの二重構造化の可能性を憂慮した。
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