フランスのパリに拠点を置く言論の自由の擁護団体「Reporters Without Borders(国境なき記者団:RWB)」は、ウェブに対する厳格な検閲を実施している中国やイランといった国々におけるブログの運営方法を記した手引書を発表した。
「The Handbook for Bloggers and Cyber-Dissidents(ブロガーおよびサイバー反体制派のための手引書)」と題された全87ページに及ぶこの小冊子は、匿名でブログを運営する方法や検閲を迂回する技術的手段など、複数の章で構成されている。22日にリリースされたこの手引書は、英語版、仏語版、中国語版、アラビア語版、ペルシア(ファルシ)語版の合わせて5種類がオンラインから無料で入手できる。
RWBのJulien Painは同手引書の序論の中で、「主要メディアが(政府による)検閲や圧力を受けている国々では、ブロガーだけが真のジャーナリストである場合が多い」とし、さらに「政府の反感を買ったり、時に逮捕される危険を冒してまで、独立した報道を提供しているのは彼らだけだ」と述べている。
RWBによると、インターネット上で反体制運動を展開している、いわゆる「サイバー反体制派」の人々のうち、これまでに少なくとも70人が投獄されており、国別では中国の62人が最多だという。
同手引書の作成に携わったArash Sigarchiも間もなく投獄される可能性がある。イラン政府は今年、体制に批判的な記事を書いたとして、同氏に対し懲役14年の判決を下した。現在同氏は自由の身であり、同判決を不服として上訴中だ。
同手引書は、複数のブロガーの個人的体験談に加え、選定したウェブページへのアクセスを遮断するフィルタリング技術の裏をかく方法など、政府の検閲を巧みにすり抜けるための技術的情報を提供している。また同手引書には、メールの暗号化、オンラインでのペンネームの仕様、匿名プロキシ、ブログ上で議論する際の倫理、読者を惹きつける方法なども記されている。
Painは、「無論、この助言は、インターネットを犯罪に利用している(テロリスト、ゆすり屋、小児愛者といった)人々のために書かれたものではない」とし、さらに「この手引書は、表現の自由の維持を目的とした書き込みを行なったがために(政府からの)反発にさらされているブロガーらを支援するためだけに作られた」と記している。
RWBによると、米国のジャーナリストDan Gillmor、カナダ人のインタネット検閲の専門家Nart Villeneuve、米国のブロガーJay Rosenの3人が同手引書の作成に協力したという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向 けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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