Googleでかつてセールス担当幹部として働いていた女性が、4つ子の妊娠中に職務上の差別を受けたとして、同社を訴えた。
米国時間17日にニューヨークの米連邦地裁に提出された訴状によると、Christina Elwellは2003年後半に全米でのセールスを担当するディレクターに昇進したが、彼女が妊娠とそれに伴う医療リスクを報告すると、その1カ月後の2004年5月から上司による差別が始まったという。
職務上の差別を理由に裁判を起こされることは、米国企業にとって珍しいことではなく、創業時から「邪悪なことはしない("Don't be evil")」というモットーを掲げるGoogleでさえもその例外ではない。
この件について、GoogleおよびElwellの弁護士からのコメントは得られていない。
訴状によると、Elwellの上司であったTimothy Armstrong(国内営業担当バイスプレジデント)は、Elwellが妊娠に伴う医療リスクのために数週間に渡って出張ができなくなることを危惧したという。そして、2004年5月にElwellのポストが除かれた組織図を見せ、彼女に運用部門のポストに就くように言ったとされている。
しかし、ElwellはArmstrongに対して、そのような異動は降格であり、15年にわたって獲得してきたセールススキルが活かされないと述べた。なお、Elwellはこの同じ月に胎児2人を亡くしている。
この会話が交わされてから1週間も経たないうちに、ArmstrongはElwellが出した国内営業部門ディレクターから東海岸担当営業ディレクターへの異動願いを却下し、東海岸担当のポストには、かつてElwellが教育を担当した、インターネット営業経験のないセールスマンを任命したと、この訴状には書かれている。
「ArmstrongはElwellを自分のオフィスに呼び、彼女が人事の手にあまる存在であり、ニューヨークオフィスではもう必要がない人材だと告げた」と訴状には書かれている。また、Elwellが自分の状況を同僚に話し、Armstrongがとった行動は妊娠に起因するとの意見を述べていたことに対して、Armstrongが懸念を表明したとも記されている。
訴状によると、ArmstrongはオフィスにElwellを呼んで話をした翌日に彼女に電話をかけ、彼女が「会社が進もうとしている方向性を理解しておらず、また(このことを)第3者に口外した」と述べたいう。
Elwellは、2004年6月半ばにGoogleの人事担当と解雇手当について話をした後、同社幹部のShona Brownから電子メールを受け取り、運用部門のポストに呼び戻すという提案を受けた。
しかし、Brownはその電子メールのなかで、Elwellの夫が「妻が健康上の大きな問題を抱えているとGoogleに告げることで、同社に誤った印象を与えた」としてこの夫を非難したと、訴状には書かれている。
その後、Googleの人事担当ディレクター、Stacy SullivanがElwellに連絡をとり、彼女が不当に解雇されたと語ったが、その後Elwellは運用部門のポストを受け入れた。ただし、彼女はこれが降格であるとの見方を変えていなかった。
Elwellは10月29日に、3人目の胎児を亡くした。
Elwellは7月19日に職場に復帰したが、その2日後に彼女は医者から、「GoogleおよびArmstrongが作り出すストレスの多い職場環境」から離れているように命じられたが、これはすでに高いリスクを抱える状態にあった彼女がそのまま仕事を続けた場合、さらにリスクにさらされることになるからだったと、訴状には書かれている。
Elwellはその後病休を取り、その間に残った1人の赤ん坊を出産した。
Googleが待望のIPOを行った前日の8月18日に、ElwellはGoogleに対する差別の異議申し立てを米雇用機会均等委員会(U.S. Equal Employment Opportunity Commission)に提出した。
その後産休に入ったElwellは、今年1月に仕事に復帰したが、そこで彼女は営業職ではなく、病休前に提示された「運用部門のローレベルのポスト」に戻らなくてはならないと知らされた。彼女はこのポストを断り、Googleから解雇されたと、訴状には書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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