「モバイルコンテンツ事業者は今後2年で淘汰される」--ドワンゴ社長

 「モバイルコンテンツを手がける事業者は、今後2年のうちに淘汰されていく。企業の統合・再編が進むだろう」--ドワンゴ代表取締役社長の小林宏氏は今後のモバイルコンテンツ業界の動向についてこう予言する。

 これは7月15日に行われた携帯電話関連の展示会「WIRELESS JAPAN 2005」の講演で述べたものだ。

 同氏が業界再編を予測するのは、モバイルコンテンツをめぐる環境が大きく変わっているためだ。第3世代携帯電話の登場とパケット定額制の導入により、音楽や複雑なゲームを携帯電話で楽しみたいというニーズが高まっている。しかしこれらのコンテンツはこれまでモバイルコンテンツの中心だった着メロや待受画面に比べて制作費が高い。たとえば着うたの場合、売上に占める著作権使用料の割合は着メロの3〜4倍となる。さらに、音楽配信であれば権利処理の問題も複雑になる。

「着うたでは着メロに比べ、アイデアによる差別化が難しい」と小林氏は苦汁の表情を浮かべる

 このような急激な変化にコンテンツ事業者のほうが対応しきれていないのが現状だ。例えばドワンゴの場合、2000年に着メロサイトの「いろメロミックス」を開始してから有料会員数が伸び続けていたが、2005年3月には初めて減少に転じた。「着うたに押され、苦戦が続いている」(小林氏)というのだ。

 「モバイルコンテンツで先行した企業は、どこも苦しい状況にある。これまでのように新しいコンテンツを出せば会員が増えるというトレンドは崩れている」(小林氏)

 今後、モバイルコンテンツ事業者は技術力と資金力を備えた「総合サイト」と、ジャンルを絞って得意分野に特化する「専門サイト」の2つに分かれると小林氏はみる。その中でドワンゴが採る道は、「ユーザーがあったらいいなと思うものを全て揃えた総合サイト」だ。

 ドワンゴは今後、これまでの「公式サイト」モデルからの脱却を図る。公式サイトでは通信事業者との契約により、広告を掲載することができないためだ。「現在は非公式サイトのほうが圧倒的にアクセスが多く、急速にモバイル広告市場が伸びている。ドワンゴとしても有料会員だけでなく、できるだけ多くの人にアクセスしてもらえる『メディア』を目指していく」(小林氏)

 その第一弾として、ドワンゴが注力するのが2月から提供を始めた携帯電話向けデジタルラジオ放送サービス「パケットラジオ(パケラジ)」だ。当初は「いろメロミックス」の会員向けに提供していたが、現在は誰でも無料で視聴できるようになっている。6月からはコンテンツプロバイダ向けに、パケラジ用コンテンツが簡単に作れるオーサリングツールを無料で配布している。

 「モバイルコンテンツ市場は今後まだ伸びる可能性があるが、旧態依然とした姿勢では生き残れない。早めに他社との提携や統合を行い、新たなビジネスを行うことが必須だ」と話して小林氏は講演を締めくくった。

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