ノルウェーのウェブブラウザメーカーOperaは米国時間7日、人気の高いPtoPファイル交換用ツール「BitTorrent」をサポートする新しいテストバージョンをリリースした。
一方、FirefoxウェブブラウザでBitTorrentのサポートを目指すMozillaも負けずに作業を進めているが、まだソフトウェアの公開には至っていない。
両プロジェクトの動きは、BitTorrentの正当性を大きく高めるものといえる。この技術は、著作権侵害との関連からこれまであまりよい評価を受けていなかったが、このところ完全に合法的な目的で使われることが多くなっている。
「BitTorrentには以前から注目しており、そのプロトコルを調べたところ、ファイルのダウンロード用として優れていることが分かった」と、OperaのChristen Krogh(エンジニアリング担当バイスプレジデント)は述べ、さらに「ほかのダウンロードメカニズムからの自然な流れで採用した」と付け加えた。
両ブラウザがBitTorrentの技術をサポートすることになれば、大容量ファイルをネット経由で配信する際の標準的な技術として、BitTorrentの果たす役割が増大する可能性がある。
実際、MacromediaのFlashなどの技術が標準的なウェブツールとなり、ユーザーや開発者の注目を集めようと競合する数多くのプラグインの1つではなくなったのも、ブラウザ内部でのサポートがきっかけだった。
オープンソースのBitTorrent技術は、Bram Cohenという開発者が2002年につくりだしたもので、その後瞬く間にファイル共有の分野で最も人気の高いネットワークとなった。KazaaやeDonkeyなど他のファイル交換ネットワークとは異なり、BitTorrentはファイルの検索やダウンロードの目的で他人のハードディスクを検索することはできないようになっている。
BitTorrentは、1カ所だけからファイルを持ってくるのではなく、同じファイルを必要とする多数の人々のコンピュータを接続し、そのファイルの一部を既にダウンロードしたコンピュータがほかのコンピュータに自動配信する仕組みとなっている。
プログラマーらが「スワーミング(集団移動)」と呼ぶこのメカニズムは、ファイルの供給元が1カ所しかない場合よりもはるかに高速なファイルのダウンロードを可能にする。Red Hat Softwareなどの企業では、この仕組みを使ってLinux OSなどの大容量ファイルを顧客に配信している。
OperaでのBitTorrentのサポートはまだ「技術プレビュー」の段階で、いつ同ブラウザへ追加するかは明らかにしていない。先ごろ米最高裁がファイル交換企業側に敗訴を言い渡しているが、この新しいソフトウェアには法的な懸念はないと、同社は述べている。
「われわれは善良な市民だ。データの不法ダウンロードを助長するようなことは一切しない」(Krogh)
Mozillaの開発に携わるKevin Stockは、電子メールのなかで、Firefox向けの「MozTorrent」プラグインはまだ企画段階にあるとした上で、同ブラウザの開発者らはユーザーインターフェースの開発が済めばこのプラグインをすぐにリリースできると観ていると述べている。
なお、Microsoftでは、「Avalanche」というBitTorrentに似た独自のファイル交換技術の開発を進めており、先月英国のケンブリッジにある研究施設でこれを披露した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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