ある団体が、遺伝子情報検索データベースの構築を計画するGoogleを「生命資源の不公正取得行為(バイオパイラシー)最大の脅威」だとして非難した。
今週ブラジルのクリティバで開催された「Coalition Against Biopiracy's Captain Hook Awards for Biopiracy」でGoogleが「表彰」された。主催者らは、地球上のすべての遺伝子を網羅したオンライン検索データベース作成を目指すGoogleとゲノム研究機関J. Craig Venterとのコラボレーションは、バイオパイラシーの明らかな例だと主張している。
主催者によると、バイオパイラシーとは「遺伝子資源の独占」を指すほか、企業や大学、政府のような組織による生物学関連資源の不正使用とも定義されるという。
同賞のウェブサイトによると、Googleが計画する検索データベースがプライベートな遺伝子情報の悪用を容易にする可能性があることから、同社はバイオパイラシーの罪を犯しているという。「GoogleはCraig Venterと協力し、われわれのゲノムをGoogleで検索可能にする計画を進めている。彼らの目的は、個人の遺伝子に応じてカスタマイズされた医薬品が手に入る素晴らしい新世界の実現に力を貸すことだという」と同サイトには書かれている。
主催者の1社ETC GroupのJim Thomas氏によると、一般消費者の情報を集めるGoogleの最近の動きは、あらゆるプライバシー活動家との間で厄介な問題を起こしかねないという。「『全員の情報をオンラインで保管したい』という同社の新しい企業ミッションは、これがゲノム情報にまで拡大すれば相当な論議を呼ぶだろう。Googleはオンラインプライバシーが厄介な問題だと思っているかもしれないが、遺伝子プライバシーの議論が巻き起これば問題はその比ではない」(Thomas氏)
GoogleとVenterのコラボレーションを示唆する元の情報源は、Pulitzer Prize受賞作家David Vise氏の「The Google Story」だった。しかしGoogleは、これまでこの問題に関するコメントを拒否しており、Venterも関係を否定している。Googleにコメントを求めたが回答は得られなかった。
Googleは、技術以外の分野に貢献していることを盛んに示そうとしている。Googleは先ごろ、同社の共同創業者であるLarry PageとSergey Brinの両氏と一緒にGoogleの寄付金や慈善活動戦略を統括する目的で、Larry Brilliant氏をGoogle.orgの事務局長に指名している。
Brilliant氏は疫学を専門にする内科医で、国際保健の専門家でもある。同氏は世界保健機関(WHO)の天然痘撲滅キャンペーンで重要な役割を果たし、国連では視覚消失症やポリオの撲滅に奔走した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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