全国約850の事業者が加盟するネットショップ互助団体「全国イーコマース協議会」(平山泰朗理事長)は、3月18日に開催された2006年3月定例会/「ベストECショップ大賞2006」授賞式において、理事長の平山泰朗氏による「独自ドメインの戦い方」特別講演を行った。
平山理事長は、同協会の理事長のほか、ホームページ制作会社ウォークスコミュニケーションズの代表取締役、生まれ故郷の長崎県壱岐島の特産品を販売するサイト「壱岐もの屋」のウェブマスターなどを務めている。
講演では、「独自ドメイン」ショップによるモールとの戦い方の違いを徹底比較。ショップ運営の健全経営化には、モールに完全に依存するのではなく、モールと共存しつつ「独自ドメイン」によるショップ運営が必要だと力説した。
モールの強みは確立されたメールマーケティングにあり、とくにノンブランド商品の販売が強いと指摘。プレゼントやオークション、共同購入などによる段階を踏んだマーケティング手法がとれることを挙げる。具体的に加盟店舗のメリットとしては、(1)ノンブランド商品が売りやすい、(2)モール内での露出が図れる、(3)モールでの検索エンジンにひっかかる、(4)モール全体でのランキングなど、売れていること自体が購入意欲につながる、(5)共同企画がやりやすい、集まりの機会が豊富、(6)店長の教育システムがある、(7)レビューなど、ひと気の演出があるーーをポイントに挙げている。
デメリットは、(1)従量課金制度で、利益率が高ければいいが低いと厳しい、(2)顧客データの持ち出し禁止、(3)競争激化、(4)独自販促の禁止(たとえば楽天市場の場合、オーバーチュアや独自アフィリエイトの利用ができない)、(5)一般検索エンジンでひとまとめにされるなど不利、(6)外部システムとの連携や外部リンクなどが禁止されている、(7)定期販売、頒布会の禁止??など。従量課金制度のもと、利益率が低いショップは必然的に淘汰されていく、としており、すでに同じ商品を複数のショップで販売する「同種店舗との競争」により、モール内では価格競争で利益が圧迫される現象も目立ってきているとの現状を報告した。
一方の「独自ドメイン」のメリットは、顧客をモールに依存せずに囲い込めるところにある。(1)顧客データが集まるため、パンフレットの郵送や実店舗の活用が可能、(2)ターゲットが広い。URLが自由で、検索エンジンにひっかかる、(3)従量課金がない、(4)定期販売が可能、(5)独自販促がやりやすい、(6)システム、デザインの自由度が高い、(7)テレビ露出の場合、独自ドメインでないと駄目なことがあるーーと説明する。
デメリットとしては、(1)初期費用がかかる、(2)ノンブランド商品が売りにくい、(3)運営に技術、知識が必要、(4)情報の流通量が少ない、(5)ひと気の演出が非常に難しい??としている。そのため、とくに「独自ドメイン」では扱う「商材」が重要だとした。
そうした両者のメリット、デメリットを踏まえたうえで、「独自ドメイン」の戦い方としては、需要と競合を計測することがまず必要だとしている。自分のショップが以下の4つのエリアのどこに位置づけられれるのかを見極め、それぞれのエリアに沿った戦略をとる。需要と競合での計測では、「オーバーチュア・アドバイスツール」や「ヤフーのカテゴリ登録サイト」などを使った実演が行われ、またエリアごとの戦略が披露された。
どのエリアでも共通する戦略としては、(1)検索数の多い商品で客を集める、(2)アフィリエイトの料率をあげる、(3)独自ドメインゆえ、メディアに取り上げられやすい、小さなブームを起こす、(4)継続性、利益率の高い卸取引を行っていく、(5)各種受賞を受ける、(6)ページの向上、「ネットショップ構築標準ガイド」を参考にポイントを抑える、(7)ひと気の演出、動的要素を盛り込むーーなどを取り上げた。
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