いまだ明かされない、グーグルのエンタープライズ分野への取り組み

文:Andrew Donoghue(ZDNet UK)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年03月06日 12時57分

 Googleが、同社の検索アプライアンスなどの製品とその他の検索およびコミュニケーションアプリケーションを統合し、きわめて性能の高い企業向けのナレッジマネジメント/情報管理プラットフォームを開発する可能性があることを示唆した。

 Googleの製品マーケティングマネージャArvind Desikanは現地時間3月2日、同社の最新検索アプライアンス「Mini」の発表会で、「Desktop for Enterprise」や「Toolbar for Enterprise」といった複数の企業向け検索技術を統合することは、企業ユーザーにとってメリットになると述べた。「より多くのものを統合すれば、利便性はさらに向上する」(Desikan)

 しかしDesikanは、英国のAutonomyのような有力なナレッジマネジメントベンダーと競合していくために、Googleがエンタープライズ検索ツールを開発しているかどうかについては、情報を明かさなかった。「これからどのような方向に進んでいくかは、まだ確定していない。基本的には、Googleがこれまで一般利用者に提供してきたものを、職場に提供していこうと考えている」(Desikan)

 ナレッジマネジメントは21世紀に入った頃からもてはやされるようになった言葉だが、一意的に定義されていないという問題がある。各ベンダーやアナリストが、その意味するところを独自に解釈しているのが現状だ。基本的な解釈では、ナレッジマネジメントとは、特定の個人が有している潜在的もしくは非体系的な情報などの社内の知識を管理することである。

 Googleはナレッジマネジメントプラットフォームを提供していないが、複数の大企業が同社の検索製品を非常に複雑な情報管理プロジェクトに用いていると、Desikanは話す。「Googleはこれまでも、(British Airwaysや)Schlumbergerといった大企業のナレッジマネジメントに対するニーズを満たしてきた」(Desikan)

 市場調査企業Gartnerは最新の報告書の中で、ほとんどすべての大規模な組織が、重要なビジネスプロセスのうちの少なくとも1つでナレッジマネジメントを実施していると述べた。同報告書には、「人が持つ知識は組織の最も重要な資産だと考えられるが、その大半は共有されていない。重要な知識を活用し、共通の視点や目的を作り出すことで、組織は職場のパフォーマンス向上を実現できるようになる」と記されている。

 Googleがナレッジマネジメントに対する取り組みを進めるかどうかという件について、Desikanは検索とナレッジマネジメントはかけ離れたものではないと話した。「両者の違いは、言葉の違いであるに過ぎない。ナレッジマネジメントは原則的に、適切な情報を適切な場面でユーザーに提供することを意味している」(Desikan)

 マーケットリーダーであるAutonomyは2005年11月、競合社のVerityを5億ドルで買収したが、こうしたことから、エンタープライズ向け検索技術でGoogleと競い合っている企業が焦りを感じている様子が見て取れる。Verityを取得したAutonomyは、ナレッジマネジメント分野におけるGoogleの躍進を迎え撃とうとしていると言えるだろう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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