「不快な」電子メールやウェブへの書き込みを禁止する新しい法律に対し、米連邦裁判所に異議の申し立てがあった。
原告のTheAnonymousEmail.comは、サービスの提供自体が犯罪になるほど法律の適用範囲が広いため、提訴が必要だと判断したという。同ウェブサイトは、有料の匿名電子メール送信サービスを提供している
イリノイ州シカゴの弁護士で、原告の代理人を務めるCharles Muddは、「法律の一部について憲法違反の認定を求めたい」と語っている。
CNET News.comが先に報道したように、Bush大統領は1月、米司法省から提出された広範囲におよぶ法案を法制化した。この中に、問題となっている「不快な」インターネットのコミュニケーションに対する新しい刑事制裁が含まれていた。同法は、自分の身元を明かさずにインターネット上で不快な書き込みをしたり、不快な電子メールを送信したりすることを禁止している。
米司法省にコメントを求めたが回答は得られなかった。
TheAnonymousEmail.comは、株式非公開企業The Suggestion Box(本社:アリゾナ州スコッツデール)が運営しており、19ドル95セントの定期利用料金を支払えば匿名でメッセージを送信できるようになる。
同社の社長Howard Baerによると、新法は、Sarbanes-Oxley Act(米国企業改革法)に沿って民間企業に苦情を訴えただけで犯罪になるような大きな問題を抱えている。もしこの会社の幹部が、この苦情は「嫌がらせ」を意図したものだと主張すれば、それで犯罪になってしまう。
アリゾナ州の連邦地方裁判所に提起されたこの「不快感」防止法に対する異議申し立ては、検察による法執行禁止の仮差し止めを求めている。さらに、同法の「不快」という言葉の意味は「あいまいで、行き過ぎで、なおかつ漠然としている」上、米国憲法修正第1条および第5条に違反している、と主張している。
この「Violence Against Women and Department of Justice Reauthorization Act(女性への暴力防止および司法省の権限強化に関する法律)」と呼ばれる法律は、電話に関する既存の法律を修正し、刑事制裁をインターネットにも拡大するものだ。VoIP関連のほかの法案とは異なり、この「不快感」防止法は、VoIPに限らず、インターネットを介したコミュニケーションに幅広く適用される。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の法学部教授で憲法修正第1条に関する著書のあるEugene Volokhによると、「不快感」防止法は言論の自由に対する米国市民の権利を侵害する可能性があるという。「たとえ、ささいな願望からの嫌がらせであっても、憲法で保護された言論の自由で守られる必要がある」(Volokh)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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