カリフォルニア州ハーフ・ムーン・ベイ発--サーフィンは、生身の人間が自然に戦いを挑むといった類のスポーツで、ほかのスポーツと違って技術の助けなどいらない--少なくともサーファーはそう考えるのが好きだ。
だが、米国時間7日にマベリックビーチで開幕した「2006 Mavericks Surf Contest」では、サーファーの移動に使われたジェットスキーや、選手の身体を暖めるウェットスーツ以外にも、科学や技術が重要な役割を果たしていた。
賞金総額5万5000ドルの同大会はサーフィン競技最大のイベントの1つで、今年は24人の選手が参加。彼らは9メートルも高さのある壁のような波にたたきつぶされ、打ちのめされるのも覚悟で波に向かっていく。
北カリフォルニア沿岸は毎年巨大な波が押し寄せることで有名だが、大会主催者は大波が来るのを確実に知る必要がある。
そこで声のかかったのがMark Sponslerだ。同氏は気象モデルの構築や、風向きの分析、地球全体の潮流や暴風の追跡を専門にしている。この大会を始めたJeff Clarkは、データの分析やイベント開催日の決定に関して、Sponslerに全幅の信頼を寄せている。
この仕事には大変な責任が伴う。この大会の正式な開催期間は1月1日から3月31日までの予定となっていた。海外からも集まる参加者は、24時間以内に会場に到着する必要がある。また、せっかく集合しても競技が開かれないのでは不愉快この上ない。
Sponslerは電話インタビューのなかで、「参加者が悪態を付くと思うか。それとも喜ぶと思うか」と記者に問いかけた。
スタート時間になると、選手は次々とやってくるように思われる4〜7メートルもの高さの波に立ち向かっていく。
Sponslerは気象学を学んだ専門家ではない。サーファーである同氏は、もっと多くの波をとらえられるようにと気象学を学び始めた。同氏はまた、フロリダで暮らしていた時に経験してきたハリケーンについても理解したいと考えた。
Sponslerによると、大会に参加したサーファーらが7日に乗った波は日本からやってきたもので、最大時速130キロメートルのハリケーンに乗って移動してきたという。同氏の予測では、移動中の波の高さは時には最大30メートルに達することもあったという。
同氏によると、天気の場合と同じように、海の状態がこの先どう変化するかを確実に予測することは、最高の教育を受けた科学者でも不可能だという。それでも、衛星が追跡する各種の気象データを見れば、Sponslerには日本発のこれらの巨大な波が「われわれに直接向かってくる」ことが分かるという。
昨年12月のMavericksで肩の腱を切断したSponslerは、「常に不安はつきまとう。実際にやってくるまでは確信できない」と語った。
Sponslerの技量の高さを誰よりもよく理解しているのは、ビーチやそのうえに被さるようにそそり立つ断崖の上から、競技の模様を観戦していた5万人を超えるファンたちだろう。
イギリスからきていたBarnaby Williamsという32才の男性は、鎖を渡したフェンスに立ちながら、サーファーの動きを捉えようとしていた。同氏は、ハワイのノースショア、インドネシア、さらにヨーロッパ有数のサーフスポットでも波に乗った経験の持ち主だが、そんな彼に目の前の怪物のような波についてどう思うかを尋ねてみた。
「いやになるほど物凄いね。これだけの大きさの波を見たのは(ハワイでも大波が来ることで有名な)ワイメアビーチ以来だ」(Williams)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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