ワシントン・ポスト、読者のコメントを一斉削除--ブログ界に波紋広がる

文:Daniel Terdiman(CNET News.com)
翻訳校正:尾本香里(編集部)
2006年01月23日 12時24分

 The Washington Postが自社のブログに書き込まれたコメントを削除したことを受け、ブログ愛好者らは米国時間20日、一斉に抗議の声を上げた。

 投稿を削除する判断は19日に、washingtonpost.comのエグゼクティブエディタJim Bradyによって下された。問題になったコーナー「post.blog」は、同社の方針やデザイン、目指すべきものを議論する場として同社サイト内に用意されている。投稿が削除されたのは、post.blogのオンブズマンDeborah Howellが書いたコラムに寄せられたもの。問題が発生するまでの経緯はこうだ。まず、Howellは15日付けの記事のなかで、ロビイストJack Abramoffが関与した資金調達スキャンダルについて論じ、自身の見解を記した。その後、改めてpost.blogにコラムを投稿し、15日付の記事に自ら記した見解について、擁護した。

 post.blogのコラムを見た多数の読者は、民主党議員とAbramoffを結びつける共和党の論旨をHowellが受け入れたとして、電話やメールで抗議し始めた。Howellは、15日付の記事の中で自身が用いた言葉を和らげる目的でpost.blogにコラムを投稿したものの、そのコラムのなかでは、民主党がAbramoffのクライアントから金銭を受け取ったことが強調されていた。同氏の投稿に読者は即座に反応し、瞬く間に何百件もの抗議のコメントが寄せられた。

 Bradyは、寄せられたコメントの多くが不快な内容だとして、19日にはpost.blogへのコメントの書き込みを停止した。

 Bradyは19日、post.blogへの書き込みのなかで「(コメントには)個人に対する攻撃や不適切な言葉遣い、差別的な発言など、本紙が認めていない内容が含まれる。本ブログに書き込みを行った相当数の投稿者が、比較的単純なはずのルールを遵守できなかったため、コメントの受け付けを当面中止する」と述べている。

 しかし、この措置は逆効果で、一部のブロガーから怒りを買うことになってしまった。ブロガーたちは、即座に様々なサイトで問題を訴え、BradyとThe Washington Postが反対意見の封じ込めを行っているとして非難した。

 Firedoglakeブログには、「The Washington Postの経営者は、Deborah Howellに対する反対意見を、公的な記録として残したくなかったのだろう。その結果、Bradyは、コメントが削除されたことについて、何らかの弁解を余儀なくされた」と書かれている。

 さらに一部のブロガーは、人気の高い多くのブログでは1日あたり数百から数千件のコメントを管理していることに言及し、これを考えれば、不快なコメントがあまりにも多く対応しきれなくなった、というPostの主張には納得できないと述べている。

 Bradyは不適切だとされるコメントの削除について、「専任の担当者2人が、4日間かけて対応した。24時間365日稼働するニュースサイトの運営を目指しているのに、この問題にあまりにたくさんのリソースをとられてしまった」とCNET News.comに語っている。

 またBradyは21〜22日の週末にかけて、The Washington Postでは、投稿のルールに違反していないコメントを再度、post.blogに公開する予定だと述べた。また同社では、基準を満たさないコメントを効果的にフィルタリングする方法を検討し始めるという。

 「もっと多くのリソースが必要だ。もしかしたら、こうした問題は、外部企業に委託することで解決できるのかもしれない・・・いずれにしろ、何度も問題を起こす人をブロックするための、より効果的なシステムが必要だ」(Brady)

 しかし、こうしたコメントも、ブロガーの怒りを和らげるうえで何の役にも立たなかったようだ。ブロガーらは、The Washington Postの今回の反応について、同社が反対意見を受け入れられないことの表れだと述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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