2人の米下院議員が、次世代デジタルビデオ製品へのコピー防止技術の組み込みを義務付ける法案を議会に提出した。インターネット上の海賊行為に対する懸念を強めている大手映画製作会社にとっては朗報だ。
仮に同法が成立すれば、アナログビデオ信号をデジタル信号に変換する電子機器の製造/販売は違法となる。ただし、それらが、再配布の防止を目的としたコピー対策プランに準拠している場合は例外だ。対象となる機器には、PC用のチューナーやデジタルビデオレコーダなども含まれる。
同法案の提出者の一人で、下院司法委員会委員長のJames Sensenbrenner Jr.下院議員(ウィスコンシン州選出・共和党)は16日、「デジタル技術への移行により、アナログコンテンツの窃盗がより容易になった。この法律は、アナログコンテンツの窃盗防止を目的としている」と述べ、さらに「(犯罪者らは)著作権で保護されたコンテンツを入手し、著作権保有者の犠牲の下に、それらのコンテンツを再配布して利益を上げている」と付け加えた。
SensenbrennerとJohn Conyers下院議員(民主党)が共同で提出した同法案の目的は、技術者の間で「アナログホール」と呼ばれる問題を解消することにある。アナログホールは、コピー対策技術が施されたデジタルコンテンツをアナログフォーマットに変換することによってコピー対策技術を回避し、そのコンテンツを再びデジタルフォーマットに変換し直すという手口で悪用される。
全米映画協会(MPAA)は、Digital Transition Content Security Act(DTCSA)と呼ばれる同法案を絶賛した。MPAAの会長Dan Glickmanは声明の中で、「(DTCSAは)デジタル時代における著作権保有者を保護すると同時に、消費者に与えられる選択肢の増加を促してくれる。これは極めて重要な法案だ」と語った。
ただ、米議会は休暇に入るため、同法案の審議は数カ月間先延ばしされることになりそうだ。しかし、同法案は、家電メーカーに加え、Public KnowledgeやElectronic Frontier Foundationなどの団体からの強い反発を招く可能性がある。これらのメーカーや団体は、同法案の前バージョンに対してもすでに警戒感を表明していた。
過去の失敗からの教訓
DTCSAが立法化されれば、米商務省に家電業界を監視する広範な権限が与えられることから、業界の強い反発を呼び、2004年のInduce Act(誘発法)のときと同じような激しい攻防戦が繰り広げられる可能性もある。
Induce Actをめぐる攻防の中で、家電メーカーと一部のインターネットサービスプロバイダ(ISP)は、(Induce Actが)ファイル交換の取り締まりを目的としていたとしても、Apple ComputerのiPodのような機器を危険にさらす可能性があると主張し、同法案を批判した。また、2002年に策定された、家電機器へのコピー防止技術の組み込みを義務付ける法案も立法化には至らなかった。
DTCSAは、過去に米議会で展開されたデジタル著作権をめぐる攻防から、MPAAと同団体を支持する議員らが様々な教訓を得たことを伺わせる内容になっている。例えば、同法案には図書館や教育者に対し、部分的に適用を免除する規定が盛り込まれている。これは、同法案に対して反発すると見られる組織/団体を納得させる狙いがある。また、同法案には以下のような内容の規定が設けられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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