サンフランシスコ発--RealNetworksの最高経営責任者(CEO)Rob Glaserは、宿敵であったMicrosoftのBill Gatesと和解したいま、テクノロジー業界を代表するもう1人の人物に攻撃の矛先を向けている。今度の相手は、Apple ComputerのCEO、Steve Jobsだ。
米国時間5日に当地で開かれた「Digital Living Conference」で、Glaserは会場のホテルの宴会場を埋め尽くした参加者を前に、JobsらがiPodを他社の音楽配信サービスに対応させるのを拒んでいることについて、「偏屈さの表れ」だと非難した。またGlaserは、AppleがiTunes Music Store(iTMS)以外のオンライン音楽配信サービスと協力しようとしないことが違法コピーの増大を助長しているとし、いずれはそれが消費者の怒りを買うことになるだろうと語った。
GlaserとRealNetworksの周辺では、このところ慌ただしい動きが続いている。同社は2003年に10億ドルの賠償金を求めてMicrosoftを訴えていたが、2005年10月にはMicrosoftから有利な条件を引き出し、和解していた。
Microsoftは、同社の独占禁止法違反を訴えていたRealNetworksに対して4億6000万ドルの現金を支払ってこの訴訟を解決するとともに、RealNetworksの音楽/ゲーム関連の取り組みを支持するために3億100万ドルを支払うことになっている。さらに、MicrosoftはRealNetworksの契約制音楽配信サービス「Rhapsody」をMSNウェブサイト上で宣伝していく。
RealNetworksとMicrosoftの和解に、Jobsはおそらく自分でも気付かぬうちに手を貸していたといえる。Glaserは2004年に、Jobsに対して、他社の音楽配信サービスにもiPodを対応させるように直訴したが、それを一蹴されたという経緯がある。Microsoftは以前から音楽配信サービス各社と提携し、同分野を支配するAppleに挑戦しようとしてきていた。
Jobsはこの時、Appleの株主に対して、RealNetworksとの提携は「検討に値しない」と述べていた。しかし、それであきらめるようなGlaserではなかった。RealNetworksは2004年7月に、Jobsらの許可を得ないまま、iPodと互換性を持つ音楽ダウンロードサービスを発表した。これに対し、Appleはこの行為を「ハッカーのやりくち」と呼んでいたが、それでも訴訟には至らなかった。
Glaserは講演の後に行われた質疑応答のなかで、AppleがiPodを(RealNetworksのサービスに)対応させようとしないことがRealNetworksにマイナスの影響を与えているかどうかを尋ねられた。
これに対し、Glaserは「Apple ComputerとSteveは、自らのソフトウェアを他社に公開しないという過ちをおかしている」と述べ、RealNetworksでは引き続きMacintoshのユーザーへもサービスを提供していくとした。「Steveがへそ曲がりだからといって、Appleの顧客に辛くあたる理由はまったくない」
この講演の後に行われたインタビューのなかで、Glaserは、iPodを他社の音楽配信サービスにも対応させるようJobsに圧力をかけようと、音楽業界に呼びかけた。
「Steveは互換性に反対する立場をとっているため、叩かれても仕方がない。音楽業界の関係者はSteveに対して影響力を持っているのだから、彼に圧力をかけ、態度を改めさせるべきだ。Appleが互換性の点で独自の立場をとっているから、消費者には違法コピーがますます魅力的に思えるようになる。つまり、あちこちの違法サイトにあるMP3ファイルはiPodや他のどんなプレイヤーでも再生できてしまえるのに対し、合法サービスで楽曲を購入しても特定の環境でしか聴けないからだ」(Glaser)
なお同氏は、このDigital Living Conferenceにおいて、刷新したRhapsody音楽サービスを発表した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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