オンラインショッピングやオークション、オンラインゲームなどで取引トラブルが起きたら、あなたは誰に相談するだろうか。もし相談する相手が思い浮かばなくても、2006年3月までなら国の委託を受けた機関「ネットショッピング紛争相談室(ECOM ADR)」がサポートしてくれる。
次世代電子商取引推進協議会(ECOM)は10月31日、Eコマースに関するさまざまなトラブルの相談を受け付けるECOM ADRの活動内容について紹介する報告会を開催した。
ECOM ADRはECOMが経済産業省から委託を受けて運営しているもので、インターネット上の取引で生じたトラブルの相談をウェブ上で受け付けている。経済産業省の実証実験という位置付けで2001年11月より開始され、2006年3月にプロジェクトが終了する予定となっている。
報告会では、これまでに寄せられた相談の種類や運営の現状、実際に寄せられた相談が紹介されるとともに、プロジェクト終了後の相談室のあり方について議論がなされた。
ECOM ADRに寄せられた相談件数をみると、2002年度上半期には284件だったものが2005年上半期には982件にまで増え、イーコマースの普及と相談室の認知度が高まるにつれて件数が伸びていることがわかる。2005年上半期の場合、通販・オークションに関する相談で最も多かったのは「お金を払ったのに商品が届かない」「商品に不満があるので返品したい、返金して欲しい」というものだった(グラフ)。
ECOM ADRに寄せられる相談は取引金額が数千円程度と小額で、裁判や弁護士を介して交渉するにはなじまないものがほとんどだ。企業・個人間のトラブルは消費生活センターでも扱っているため、ECOM ADRに寄せられる相談は消費生活センターでは対応しきれない個人間取引や海外との取引が多いという。
ECOM ADRが調べたところでは、2005年上半期における相談件数のうち、23%が消費生活センターからの紹介だった。また、ウェブ上で相談を受け付けていることもあり、検索サイトからアクセスした人も24%と多い。
相談はウェブで受け付け、その後の相談者と相談員のやりとりはメールを利用する。この点でも、平日の10時から16時まで電話のみで相談を受け付けている消費生活センターとは体制が異なっている。
寄せられた相談に対して、相談員がアドバイスをすることで多くのケースは解決するという。ただし中には販売者と購入者の仲介や調停をするケースもある。逆に詐欺などの問題はECOM ADRでは解決できないため、警察に相談するよう勧めている。相談員は現在約30名という。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス