Internet ExplorerとNetscapeの特定バージョンの利用者のみが、10月末に運用開始される著作権のオンライン事前登録システムにアクセスできることになりそうだ。
米著作権局の最高執行責任者(COO)であるJulia HuffはCNET News.com宛てのメールの中で、「現在われわれが使用しているバージョンは他のブラウザでも問題なく利用できると思うが、まだ動作を確認していない」とし、さらに「過密スケジュールの上に、人的資源も限られている。そのため、現時点ではテストの実施は不可能だ」と述べている。
Huffは26日、米議会が4月に可決した「Family Entertainment and Copyright Act(家庭娯楽・著作権法:FECA)」の指令に従い、著作権局は10月24日までに新電子システムを稼働させなくてはならないと語った。同局は、わずか数週間前にブラウザによっては新システムを利用できない可能性があることを明らかにし、一般市民から意見を募集した。
この事前登録システム導入の背景には、人々が自分の未公開作品に関する権利を主張できるようにする狙いがある。例えば、映画製作者は、ある映画を事前登録しておけば、その作品の映像やコピーを事前に発表した人物に責任を追及できる。
FECAには、著作権局が事前登録システムに関する規則を策定する期限は設定されているものの、同局に電子的アプローチを取るよう求める明確な規定はない。Huffによると、著作権局が電子システムの採用に踏み切った理由は、「登録にかかる時間の短さ」にあるという。
Huffによると、著作権局の職員は、導入が予定されている、Siebel Systemsが開発したオンライン登録システムが、Internet Explorerの5.1以降のバージョンおよびNetscape Navigator 7.0.2の2種類のブラウザでしかテストされていないという事実を過去2、3カ月間に知ったという。同局は、2006年後半に同ソフトウェアの新版をリリースするまでMozilla Foundationが開発したウェブブラウザFirefoxをサポートする予定はないという。また同局は、OperaやApple ComputerのSafariのサポート計画については言及していない。
W3Schoolsがまとめた統計によると、Internet Explorerの最新版2種をあわせると、8月のウェブブラウザ市場において3分の2以上シェアを占めているという。一方、Firefoxのシェアはおよそ19%で、Netscapeのシェアは1%に満たなかった。
「特定のベンダーを支持する意図は昔も今もない」とHuffは語る。
しかし、たとえ故意ではないにせよ、(特定のベンダーのみ優遇する措置は)消費者の選択を事実上妨げるものであり、著作権局はその方針を再検討すべきだ、と各業界団体は主張している。
業界団体Computer & Communications Industry Associationの一部門であるOpen Source and Industry Alliance(OSAIA)の代表者らは、著作権局に提出した意見書の中で次のように述べている。「著作権局は、個々のアプリケーションの仕様ではなく、オープンな標準に基づいてシステムを設計することで、同局自身の機能を強化し、ユーザーエクスペリエンスの向上を図るべきである。同時に、著作権局は『勝者の選択』を行わないことによってソフト市場の活性化を図るべきでもある」
ウェブ標準化団体のWorld Wide Web Consortium(W3C)は意見書の中で、(ウェブブラウザの)バージョンを限定する動きは、米政府の「e-government(電子政府)」戦略に逆行するものだ、と述べている。
W3CのディレクターTim Berners-Leeは意見書の中で、2003年の米政府による勧告を引用し、次のように記している。「ソフトウェア資産管理などを含め、システムの取得/サポートに要するコストを削減するための『賢明な』購入慣行を採用し、標準に準拠したソフトの使用を増やす戦略を提案する」
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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