コロラド州アスペン発--Warner Music Groupが、CDの代わりにデジタルダウンロードを利用する新しい音楽流通メカニズムの開発を進めている。
Warner Musicの会長兼CEO、Edgar Bronfman Jr.は米国時間22日、この新しいメカニズムが「eレーベル」と呼ばれることになると述べた。数年ごとに1枚のCDを出すという従来のやり方に代えて、eレーベルではアーチストらが数カ月おきに3曲単位で新曲をリリースすることになるという。
同氏は当地で開催中の「Progress & Freedom Foundation」カンファレンスに集まった約150人の聴衆の前で、「われわれは新しいビジネスモデルの実験を行おうとしている。これが今後どうなっていくかを見極めたい」と語った。
Warner Musicの動きは、楽曲ダウンロードサービスの流行やCDの売上鈍化傾向に対抗するものと思われる。IFPI(International Federation of the Phonographic Industry)によると、2005年上半期には約1億8000万曲がネット上で販売され、昨年同期の5700万曲から大幅な伸びを記録したという。また、Apple ComputerのiTunesでは先ごろダウンロード数が5億曲を突破した。
eレーベルは、アーチストに対して商業的なヒットをあまり要求せず、「協力的でリスクの低い環境」を提供していくと、Bronfmanは語った。さらに、eレーベルと契約するアーチストは、著作権とマスターの所有権を保有し続けられるという。
Bronfmanはまた、ハイテク業界を批判する一方で、米最高裁判所がGroksterファイル交換訴訟を巡って先ごろ下した判断を称賛した。「この判決は、さらなる技術革新を推進し、合法的なデジタル音楽配信サービスの成長を加速させるだろう」(Bronfman)
同氏は、「通常は公正な市場メカニズム」への政府の干渉は支持しないとしながらも、ピアツーピア(PtoP)ネットワークへの違法コピー選別用フィルタリング技術の導入義務付けや、カナダが提案し現在保留中のiPod税の徴収についてはこれを評価した。
「われわれのメリットになるものなら、政府による税徴収は好ましい。たとえば、フランスの議員には、販売するすべての空のCDへの課税を中止しろなどと主張して欲しいとは思わない。そうした課税でも、われわれが失っている収益を補うことはできない・・・政府がフィルタリング技術を規定したら大満足だ」(Bronfman)
ただし、Warner Musicのある関係者はBronfmanの講演の後で、同社ではフィルタリング技術の導入義務付けは政治的に実現不可能だと考えており、米国ではこのような義務づけやあるいはブランクメディア課税を支持しないと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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