ウェブの片隅で、2人のクラシック音楽愛好家が既に5年の歳月を費やし、Ludwig van Beethovenの知られざる作品数百曲を再現する作業をひたすら続けている。
ウィスコンシン州マディソンの税理士Mark Zimmerとオランダ人作曲家Willem Holsbergenは、Beethovenの未完成、未収録、そして多くの場合未発表の作品が並ぶデジタルアーカイブ「The Unheard Beethoven」のサイト作りを進めている。彼らは、Beethovenの非常に読みにくい殴り書きをどのコンピュータでもダウンロード/再生が可能なデジタル楽譜に変換する作業を、骨身を惜しまずに進めている。彼らの掲げる究極の目標は、Beethovenが紙に残した音符すべてを再現することだ。
この2人の情熱は、海賊版レコードまでを求めて探し回る熱狂的なTHE BEATLESファンのそれとは少し違うかもしれない。彼らにはもっと壮大な夢がある。6月に大成功を収めたBBCラジオのBeethoven特集の製作者と同じで、彼らは、クラシック音楽に対する人々の興味を再燃させたいと考えているのだ。
「私は、知られざる傑作を発表することで、(クラシック音楽に対する人々の興味を)再燃させたいと考えている」とHolsbergenは言う。「Beethovenが残した手書きのメモがそれを可能にするかもしれないなんて、素晴らしいではないか」(Holsbergen)
Britney SpearsやEminemが流行する時代に、こんな夢を描くなんて無謀かもしれない。しかし、メディアとしての影響力を増すインターネットやその他のデジタルツールの力を借りてクラシック音楽をコンサートホールや専門家の手から開放し、普及させようと考えるアマチュアやセミプロのミュージシャンは増えている。ZimmerとHolsbergenもそういった人々の一部だ。
こうした取り組みの成果は、まだクラシック音楽の販売実績には反映されていない。クラシック音楽の売上は音楽市場全体の約3%に過ぎず、ポピュラー音楽の足元にも及ばない存在となっている。しかしこうした取り組みの成果は、随所に表れ始めている。New Yorker誌の音楽評論家や一般の音楽ファンが綴るブログや、Live365のようなサービスを使って開かれたクラシック専門のインターネットラジオ、春に行われたVan Cliburn国際ピアノコンテストのウェブキャスト、さらに、ウェブキャストを聞いたクラシックファンがネット上で展開する評論などが、その例である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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