Microsoftは米国時間19日、Googleと、同社が中国における研究開発の責任者に任命したMicrosoftの元幹部を訴えたことから、両社のライバル関係が新たな展開を迎えている。
今回の訴訟は、GoogleとKai-Fu Leeを相手取ってワシントン州の州裁判所に提起された。Leeは、18日までMicrosoftのInteractive Services Divisionでコーポレート・バイスプレジデントの座にあった。
Googleは19日朝に、Leeが同社に入社し、中国で新たに始まる研究活動の責任者を務めることを明らかにした。
Microsoftは今回提出した訴状のなかで、「GoogleのようなMicrosoftと直接競合する企業への移籍は、Leeが採用時に誓約した競合禁止制限事項の違反にあたる。Googleも、LeeとMicrosoftとの契約を十分認識しながら、これを無視する判断を下し、Leeに契約違反を促した」と述べている。
Microsoftはこの訴訟のなかで、損害賠償に加え、Leeの契約にある非競争事項などの各種条項の遵守命令も求めている。このなかには、Microsoftの業務機密を提供する行為を禁じる条項も含まれている。
Googleは、Microsoft最大のライバルとなりつつあり、ここ数カ月の間にも複数の著名なMicrosoft社員がGoogleに移っている。同社は、デスクトップ検索や電子メールなどの分野でMicrosoftに果敢に挑戦するライバルと見られている。しかも、同社のサービスはどのOSとも相性がよい。
GoogleはLeeの採用に関するプレスリリースを出し、今四半期中に中国に研究開発センターを開設する計画を発表した。
GoogleのAlan Eustace(エンジニアリング担当バイスプレジデント)は、「これまで技術革新を続けてきた実績や、技術や研究に対して情熱を抱くLee博士の指揮の下、Googleの中国R&Dセンターは、中国および世界中の数百万人のユーザーに向けて革新的な製品や技術を開発できるようになるだろう」と声明のなかで述べている。
音声認識技術のエキスパートであるLeeは、Microsoftの中国研究所を1990年代後半に設立した人物で、Microsoft入社前にはSilicon GraphicsやApple Computerに在籍していたこともある。
Microsoftの提訴に関して、Google関係者からコメントを得ることはできなかった。
GoogleがLeeの採用を大々的に発表すること自体極めてまれなことだ。Eric SchmidtのCEO就任時を除き、同社が新しい人材の獲得について発表したことはほとんどない。
Microsoft側のある弁護士はインタビューのなかで、LeeのGoogleへの移籍は、同氏がMicrosoftに加わった際に交わした非競争条項に著しく違反する言語同断の行為だと述べた。
「Leeは、われわれの検索技術やビジネスプランに関する業務機密や、わが社の中国におけるビジネス戦略など、機密情報を入手できる立場にある」と法律顧問代理のTom BurtはCNET News.comに語った。「同氏は、これらの分野でMicrosoftと直接競合する企業からのポジションのオファーを受け入れた」(Burt)
Leeは最近、Microsoftで新しい検索技術の開発に取り組んでいた。提出された訴状によると、Leeは「しばらくの間、MSNのインターネット検索アプリケーションの開発全体に対する責任者」の立場にあったという。同氏はまた、同社の中国関連戦略に焦点をあてた諮問委員会のメンバーでもあり、この立場からMicrosoftのビジネス戦略や拡大計画のターゲットとなる分野を知ることができたと、訴状のなかに記されている。
Microsoftはこの訴状のなかで、Leeが7月5日に部門長のEric Rudderに対して、自分が長期の有給休暇から同社に戻るつもりがないこと、ならびにGoogleの中国における取り組みを率いることについて同社と話し合いを進めていることを知らせたと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス